労働組合はなぜ平和運動・政治運動に取り組むのか

労働運動と平和運動・政治運動は、一見、違うように見えますが、実は深い関連性があります。第一次世界大戦の後に悲惨な戦禍の反省として、ILO(国際労働機関)が設立された歴史を紐解くと、その理由が見えてきます。戦争の背景には過酷な労働者搾取があり、労働問題を解決する社会正義の重要性とともに、市場を求めて競争する国々の間で労働条件の差を縮小する必要性も認識されるようになりました。

労働条件の低下を防ぐことが平和を維持する

ILO憲章の前文には、次のように述べられています。

世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる。
そして、世界の平和及び協調が危くされるほど大きな社会不安を起すような不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し、且つ、これらの労働条件を改善することが急務である。
また、いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる。

さらに、具体的な改善点として次の8項目が挙げられています。

  1. 1日及び1週の最長労働時間の設定を含む労働時間の規制
  2. 労働力供給の調整、失業の防止、妥当な生活賃金の支給
  3. 雇用から生ずる疾病・疾患・負傷に対する労働者の保護
  4. 児童・若年者・婦人の保護
  5. 老年及び廃疾に対する給付、自国以外の国において使用される場合における労働者の利益の保護
  6. 同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認
  7. 結社の自由の原則の承認
  8. 職業的及び技術的教育の組織並びに他の措置による改善

日本は1919年にILOが設立された当時からの加盟国(1940年~1951年間は脱退)ですが、未だに多くの項目について未達成または不十分な状態であり、現在ではブラック企業という言葉が社会に浸透するほど、劣悪な環境で働く労働者が増えてしまいました。長時間労働の規制、合理的理由のない有期雇用の入口規制及び雇い止めの制限、最低賃金の引き上げ、同一労働同一賃金の実現など、具体的に取り組むべき課題は山積しています。

平和運動や政治運動に

労働組合が、労働運動とともに平和運動に取り組む理由については、
「戦争が起これば労働者の権利どころではなくなるから」
「労働者が徴兵されるから」
などが挙げられますが、それだけでは不十分です。低処遇労働とそれに伴う貧困のために社会不安が高まり、戦争にまで発展した事実をまず私たちは知らなければなりません。ILOが設立された後には世界恐慌が起こり、経済問題などから再び世界は戦争に巻き込まれます(第二次世界大戦)。終戦後、採択された世界人権宣言には、労働問題からさらに踏み込んで社会保障の必要性や、すべての人間が心身ともに豊かに生きる権利を有することが記されています。多大な犠牲のもと歴史に刻みつけられた人類の深い反省を、現在と未来へ生かしてこそ真の平和運動といえるでしょう。戦争は不幸をもたらしますが、不幸もまた戦争をもたらすのです。

政治への働きかけも重要です。労働者の権利向上への取り組みが、労働者に不利な法案や制度の壁に阻まれるほど悔しいことはありません。有権者である私たちの声を国政に反映させられる政治家との結びつきも必要だと思います。しかし、にいがた青年ユニオンは特定の政党や政治家への支持・不支持を組合員に要求しません。つまり、組合員から無条件で票が集まることはないので、政治家には労働問題と私たちの生活に対して真剣に向き合うことが求められています。

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