辞めさせてくれない!会社から強引な引き止めや脅しにあった場合

退職届を提出しても受理してもらえない、退職したいと伝えたところら上司から「無責任だ。 違約金を払え」と脅されたなど、退職したくても、スムーズに退職できないケースがあります。

しかし、労働者には退職する自由があります。
今回は、退職できない場合の対処法について解説します。

辞めさせない

仕事を辞めたいのに退職を認めてもらえず、退職できないケースが増えています。会社が人手不足に陥っているために、そのようなことが起きます。

退職させない事例としては、

  • 退職届を出しても受け取ってくれない
  • 上司から「次の人が見つかるまで」と言われて退職できない
  • 「辞めたら損害賠償請求する、違約金を請求する」と脅されて退職できない
  • 会社に損害が出るから、辞めたら最後の賃金や退職金は払えないと言われて脅される
  • 退職時に、有給休暇を消化させてもらえない

などがあります。

ブラック企業を辞められない

ふだんから長時間労働を強いられたり、パワハラが横行するような会社なら、それは、ブラック企業です。こうしたブラック企業では、とくに根拠もなく退職を拒否されることがあります。

そんなときは、あなたの会社の実態を確かめてから専門家にアドバイスをもらいましょう。

自由に辞められる

労働者は、基本的に自由に辞められます。会社の許可は必要ありません。

期間の定めのある雇用契約の場合

期間の定めのある雇用契約の場合、期間の定めも労働条件です。たとえば、3ヶ月ごと、半年ごと、1年ごとに契約している場合です。この場合は、期間の定めも労働条件なので、労使の合意がなければ変更できません。

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

労働契約法8条

つまり、その期間が終了するまで、退職することはできません。ただし、やむを得ない事由があれば、契約期間中の退職も認められるでしょう。たとえば、病気やけがをして働けなくなった、親の介護があるなど、こうしたことがやむを得ない事由に該当します。

期間の定めのない雇用契約の場合

期間の定めのない雇用契約の場合、労働者は原則として2週間前に退職の意思を告げることにより、退職することが認められています。退職の理由は問いません。

このルールは、民法にはっきり書かれています。つまり、労働者には「退職する自由」が認められています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法627条1項

なお、年俸制や月給制など「期間によって報酬を定めた場合」には、期間の前半までに解約の申入れをすることにより、次期からの雇用契約を終了させることができます。

つまり、月末締めの月給制なら、月の前半に退職を申し出ると、次の月から退職が認められるということになります。

就業規則と民法のどちらに従うべきか

期間の定めのない労働者の場合は、基本的に2週間前に会社に退職の意思を告げれば退職が認められます。ただし、会社によっては、就業規則で「1ヶ月前に退職を申し出なければならない」など、2週間より長めの期間が定められている場合もあります。このような場合はどうすべきでしょうか。

判断が分かれるところですが、民法が労働者を保護する規定をおいている以上、会社の都合で労働者に不利にするのは好ましくありません。一方で、1ヶ月程度であれば、長い期間を設定する合理性が認められる可能性もあります。ただし、6ヶ月程度の長期にわたるようになると、無効と判断される可能性が高いでしょう。

就業規則を無視して退職を強行すると、トラブルになる可能性が高くなるので、事前に会社とよく協議しましょう。

違法な引き止めに遭って退職できない場合の対処法

違法な引き止めに遭って退職できない場合の対処方法を、ケースごとに見ていきましょう。

退職届を受け取らない

退職の意思表示は口頭でも構いません。会社が届けを受け取らなくても退職は可能です。

もし、言った言わないの問題になりそうなら、内容証明郵便で退職届を送付して、提出した証拠を残しておいてもいいでしょう。

退職日を引き延ばされる

希望する退職日より、かなり先に会社が退職日を指定してくるケースがあります。しかし、退職の意思がはっきりしているのですから、それを待つ必要はありません。

法的には、退職の意志表示をすれば2週間で辞められます。

後任が見つかるまで退職を認めない

会社側から「後任が見つからないから退職は許さない」、「引き継ぎができていないので退職は認めない」などと言われて退職できないことがあります。

しかし、後任が見つかるかどうかは会社側の都合であり、労働者には関係のないことです。この言葉を繰り返すものの、後任者の採用活動が行われないときもあります。労働者には辞める自由があるので、これを理由に退職できないことにはなりません。

会社があくまで退職を認めないなら、あなたがはっきり退職の意思を示した証拠を残すため、内容証明郵便で退職通知を送り、控えを手元に残して対応することも考えられます。

残りの給与を支払わない

会社から「今やめるなら迷惑をかけられるので、残りの給与を払わない」と言われ退職できないケースもあります。また、最後の賃金だけ手渡しでやるから取りに来いという嫌がらせもあります。しかし、いつ退職するとしてもすでに発生した給与を支払うのは会社の義務です。

労働基準法第24条により、使用者は労働者が働いた分の賃金を全額支払う義務があります。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

労働基準法24条1項

よって、賃金を払わないのは労働基準法違反となります。

退職後でも未払い給与の請求はできるので、シフト表や業務日報など証拠の写しをとり、給与明細書や雇用条件通知書などの資料を集め、退職をしてから請求するとよいでしょう。なお、時効は2年です。

損害賠償請求すると言われた

退職しようとすると「違約金を払え」「損害賠償請求する」などと脅されて退職できないケースがあります。しかし、実際に損害賠償が認められるケースは、会社に明らかな損害を与えた場合を除き、認められることはありません。

また、雇用契約などで違約金や損害賠償の金額を予定しておくこと(賠償予定)は禁じられています。

たとえば、あなたが会社の備品を壊してしまった場合でも、必ずしも全額の賠償をする必要はありません。賠償するまで退職できないことにもなりません。借金を理由に仕事を強要することできませんので、会社に対して借金があったとしても退職できない理由にはなりません。

会社から金銭がらみで脅されたとしても、退職できます。

退職金を出さない

退職自体は認めても、会社から退職金を出さない嫌がらせをしてくることがあります。

しかし、退職金規定のある会社では、退職金の支給は義務となります。退職金が未払いは、退職後に請求することも可能です。就業規則のうち、退職金規定の写しを取得して、会社から「退職金を出さない」と言われたときの証拠をを手元に集めておきましょう。

懲戒解雇にすると脅された

会社から「懲戒解雇にするぞ」と脅されて退職できない方もいます。しかし、懲戒解雇は、会社が恣意的に適用できるものではありません。

懲戒処分は就業規則に明記されている違反行為をしない限り、会社は懲戒解雇にできません。このような会社の脅しには正当な理由はないので従う必要はありません。もちろん、退職金を減らされたり、退職金がカットされたりすることもありません。

万が一、不当な懲戒処分をされた場合は、解雇理由証明書の発行を求め、できるだけ早く撤回させなければなりません。専門家に相談しましょう。

責任感がないと言われる

辞めようとすると「責任感がない」などと言ってくることがあります。こういう場合は、そこで口げんかせず、他の会社で責任感がないかどうか証明するぐらいの気持ちで転職しましょう。

離職票を出さない

会社が離職票を出してくれないといった嫌がらせをする場合があります。そういう人たちを見ているので、自分の時も辞めにくいといったことがおきます。

離職票は、会社を辞めてから10日以内に会社が発行するもので、失業保険をもらうために必要です。

この場合、まずはハローワークに行って相談してください。ハローワークから会社に離職票の発行を促してくれます。

それでも、会社が離職票を発行しない場合、ハローワークの職権で離職票を出してもらえる手続きがあります。

有給休暇の消化を認めない

「退職したい」と告げると、会社から「有給休暇を消化させない」と言われて嫌がらせを受けるケースもあります。しかし、有給休暇は労働基準法によって認められた権利で、会社が取得させないのは違法です。有給取得に理由は不要で、有給中に転職活動をしてもかまいません。

会社が有給取得を認めないので困った場合には、専門家に相談しましょう。

違法な引き止めに負けない

会社が認めないので「退職できない」といった場合、たいてい正当な理由はありません。労働問題の専門家に相談して、適切な対応をとりましょう。

にいがた青年ユニオンは、LINEやメールで相談を受け付けています。 「退職できない」と泣き寝入りする必要はありません。

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