【固定残業代】長時間労働を強いる制度

にいがた青年ユニオンもお世話になっている新潟合同法律事務所のホームページで、齋藤裕弁護士が「固定残業代と公序良俗違反」を書いています。

岐阜地裁平成27年10月22日判決は、固定残業代の定めを公序良俗違反として無効としています。
当該会社では、10万円、83時間相当の固定残業代が定められていました。
裁判所は、36協定で定めることのできる労働時間の上限の月45時間の倍に近い長時間であることなどから、固定残業代の定めは相当な長時間労働を強いる根拠となるものとして公序良俗違反としたのです。

わずかばかりの固定残業代と引き替えに長時間労働で苦しんでいる人もいるはずです。
これについて、もう少し詳しくみてみましょう。

管理監督者とされ固定残業代を支払われる店長

あるところに、飲食店の店長さんがいました。
その店舗のパート従業員を採用したり、シフトを決めたり、金銭を管理したり、備品購入したりすることができます。
ですが、店舗の営業時間を変更することはできませんし、パート従業員の賃金や昇給については一定の枠の範囲内の権限です。また、会社全体の経営に関わるようなことはしていません。
毎日の出退勤についてはタイムカードを打刻して管理されていました。自らが休むためには代行者を確保する必要もありました。
それなのに、会社からは「管理監督者である」とされ、残業代を支払われていませんでした。

一方、管理職手当が支払われていました。毎月10万円です。会社はこれを固定残業手当として支払っています。
しかし、36協定で定めることのできる労働時間の上限の月45時間を大幅に超えて、83時間相当となってしまいます。

固定残業代は問題

固定残業代は、残業のあるなしにかかわらず一定額を残業代として支払っておく仕組みです。正しく運用すれば、会社にとってメリットはありません。それなのになぜ固定残業代という仕組みを採るのでしょうか。
ひとつは、見せかけの高賃金を作り出し、人を集めるためです。
もうひとつは、違法に運用し、人件費を削りつつ長時間働かせるためです。
この店長の場合、正しく運用したとしても、月83時間分の長時間労働を強いる結果になるでしょう。つまり、過労死ラインを超える働かせ方です。いくらお金をもらっても、健康が損なわれることはよくありません。

そもそも管理監督者ではない

管理監督者に対しては、残業代を支払わなくてもよいとされています。

41条
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
二  事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

ですが、管理職がすべて管理監督者だという意味ではありません。

  • 経営者と一体的な立場で仕事をしている。
  • 出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない。
  • その地位にふさわしい待遇がなされている。

このような、かなり高度な地位の人です。
この店長の場合、会社全体の経営に携わっているわけでもありませんし、労働時間も管理されていますから、管理監督者に該当しないと判断されています。

固定残業代が固定残業代ではない

次に、管理職手当の取り扱いです。会社側は、残業はそれほど考えられないとしつつ、開店前と閉店後に発生するかもしれない時間外労働分としていると主張しました。ですが、それしか発生しない残業ならば、なぜ月83時間分も固定残業代を支払っていたのか謎が深まります。
裁判所は、相当な長時間労働を強いる根拠となるので、公序良俗違反となると判断しました。
つまり、固定残業代ではなくて、残業代を計算するときの基礎になりますという意味です。

結果として

その結果、会社側に対して不払いの残業代として約280万円、付加金として228万円、それに遅延損害金の支払いを命じることとなります。なお、会社側は控訴しています。
齋藤裕弁護士も、

長時間残業が過労死など労働者の生命身体に関わるところから考えて、それを前提とした固定残業代の定めを公序良俗違反としたのは極めて合理的と思われます。

としていますが、まったくその通りです。
いのちや健康はとても大切です。一度失われると取り返しがつきません。長時間労働をなくし、過労死をなくすことが重要です。
長時間労働で苦しんでいる方は、ぜひご相談ください。

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コメント

  1. 固定残業代という謎制度を流行らせてはいけない - ゆにぶろ より:

    […] あまりにも大きな固定残業代を公序良俗違反とした判決もあります。長時間労働を防ぐ観点からいって、このような判断が広がることを歓迎します。 […]