アニメ若手制作者の年収が110万円になる理由

アニメーションの若手制作者の年収が110万円ほどにしかならないと報じられています。
それに対して、元アニメーターが、こう述べました。

繰り返すが、せめて最低賃金が適用される雇用をしてほしい。国が支援するのなら、この部分だ。
それだけで、彼らは普通の生活ができるようになる。
諫山裕の仕事部屋〈blog〉 : アニメーターに人並みの生活を

ここ新潟県は、たくさんの漫画家を輩出しています。それだけでなく、声優を目指す人のための専門学校もあります。
しかし、彼らのほとんどは、労働者ではなく個人事業主として扱われており、そのことのリスクを知らない人が多いのではないでしょうか。
もちろん、「本当に個人事業主なのか?」という疑念はあります。つまり、偽装請負なのではないかという疑いです。

そこで、まずは労働者と個人事業主の違いを見て、偽装請負かどうかのポイントについてまとめておきたいと思います。

こんなに違う!個人事業主扱い

急に仕事がなくなる

労働者の場合、会社側に合理的理由があれば、(一方的な労働契約の破棄)をしてくることがありますが、それでも1ヶ月前に予告が必要です。また、合理的理由がなければ、そもそも解雇は無効となります。
しかし、事業主間の商取引には、こんな決まりはありません。「今度別の事業主と取引することにしたから」と突然仕事がなくなるかもしれません。

何かあれば仕事がなくなる

労働者の場合、業務上けがをすれば労働災害です。解雇もされませんし、療養中の生活費が保証されます。子どもが生まれるという場合は、産前産後休暇、育児休暇が取得できます。
しかし、個人事業主にはそんな保証はありません。ただ仕事がなくなるだけです。

最低限の報酬の水準がない

労働者の場合、最低賃金額が決まっています。それ以下は違法です。法外残業は割増が必要です。これ以下の水準は、たとえ労使があらかじめ「どんなに安くてもいい」「残業代はいらない」などと合意していたとしても無効です。
しかし、個人事業主にはそんな保証はありません。報酬がいくらなのかは、契約時に双方が協議して決めるべき事柄です。

道具は自分持ち

労働者の場合、業務に必要なものは会社がそろえるのが普通です。
しかし、個人事業主の場合、道具は自己負担、あるいは、発注者とは貸借契約を結び、道具を借りることになります。

いちおう、個人事業主のメリットも挙げておきましょう。

時間に制約されない

労働者は労働力を時間売りするという関係上、時間で縛られますが、個人事業主の場合は、自分がいつ何をするのかは、自分の判断で進めることができます。たとえば今日中に16時間仕事をして明日完全に休むのか、今日明日と8時間ずつ仕事をするかは、発注者から指図されません。
ただ実際は、アニメーターのように締め切りに追われれば、自由に時間を使うということにはなりませんし、他の人の業務との関係で時間の制約を受けることも出てきます。

報酬は交渉しだい

労働者の場合、どんな成果を出そうと、基本的には労働力を時間売りしていますので、会社側はあらかじめ決められた金額の賃金を払うだけになります(もちろん、労働者のモチベーションを上げるために、一時金を支払うかもしれませんが)。
しかし、個人事業主の場合は、報酬は交渉次第です。
あくまで自由競争ですので、実力のある人ならば報酬はいくらでも高くすることが可能ですが、「若手制作者」ということは代わりがいくらでもいるという圧力がかかるので、報酬は低くなるのです。

「労働時間ではなく成果で払う」といっている高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ法)は、結局、こういう方向へいくのだということがわかります。「お前の代わりはいくらでもいる」という状態にさらされているのですから、放っておけば成果が出ようとどうだろうと必ず賃金は低下するのです。

仕事を断ることもできる

労働者の場合、勤務時間中は業務命令に従わなければなりません。
しかし、個人事業主の場合は、条件の折り合いがつかなければ仕事を断ることもできます。

にせものの個人事業主にさせられる場合がある

ある日、「個人事業主扱いにさせてくれ」と頼まれた-

実はこんな相談がたまにあります。会社が赤字で、労働者の社会保険料を支払うことができないため、それを免れるためというのがたいがいの理由です。
しかし、そういう理由ですから、働き方そのものに変わりはありません。これが「偽装請負」です。

偽装請負にも、個人事業主を偽装するものと、違法な派遣労働をさせるタイプのものがあります。

本当に個人事業主と言えるのかどうかは、先に挙げた個人事業主のメリットがあるかどうかで判断すると良いでしょう。
つまり、

  • 働く時間について指示されない。
  • 報酬について交渉権がある。
  • 仕事を断ることができる。

の3つの点です。
これらを総合的に判断しなくてはいけません。

どっちかわからないという場合もあります。しかしそんな場合でも、労働組合法上の労働者である可能性は高くなります。つい先日は、コンビニエンスストアの経営者らがフランチャイズ本部に対して団体交渉権をもつと判断された件があります。
このように、たとえ個人事業主であっても労働組合を結成し、自分たちの報酬が一定水準以下に切り下げられないように団体交渉権を行使するという方法もあります。

現状のままでは、日本のアニメ業界は遠からず衰退する。
諫山裕の仕事部屋〈blog〉 : アニメーターに人並みの生活を

放置すれば、まったくそのとおりでしょう。こんなことが長続きするわけありません。
私は、アニメーターが個人事業主かどうか、かなり怪しいと考えています。たまたまアニメーターの例を引きましたが、これ以外にも配送や家庭講師など個人事業主扱いされやすいが、実態は労働者に近い職業もあります。
国としても、働く人たちの権利を守り、労働者保護の政策に転換し、アニメーターも自らの生活と権利を守るためにたたかうことが求められているのではないでしょうか。そのことが、この社会をよくするはずです。

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