最低賃金が低すぎる!ワーキングプアをなくす水準の実現への議論が必要だ

地方最低賃金審議会で答申が出始めています。
ここ新潟では、22円増の753円が示されました。

新潟地方最低賃金審議会は3日、2016年度の本県の最低賃金改定について、現在の時給731円から22円(3・01%)引き上げ、753円とすることが適当と梅沢真一・新潟労働局長に答申した。
新潟日報 県内最低賃金753円 2016年8月4日

東京では、25円増の932円が示されています。

東京地方最低賃金審議会は、東京労働局長に対し、東京都最低賃金を25円引き上げて、時間額932円に改正するのが適当であるとの答申を行いました。
東京労働局 東京都最低賃金の25円引上げを答申 2016年8月5日

つまり、新潟と東京の最低賃金の差は、176円から179円へとさらに開くことになります。

そもそも水準が低すぎる

時給932円で働いたとき、どのような生活になるでしょうか。
たとえば、年間2000時間というものすごい時間を働いたときでさえ、年収は200万円になりません。つまり、ワーキングプアです。新潟の最低賃金の額でも同じことです。
かつては、最低賃金付近で働くといえば、その人は家計補助的な働き方だったかもしれません。しかし、現在は違います。非正規労働者が4割に達し、ワーキングプアが1000万人を超えたいま、最低賃金付近で働き、生活する人がたくさんいます。早急に改善すべき問題です。

支払い能力論は削除すべき

最低賃金法第9条2項に、こう書かれています。

地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。

ここに「通常の事業の賃金支払い能力」と書かれているために、「中小企業が払える金額にすべき」という声が経営者側から上がってきます。しかし、これは正しくありません。

最低賃金付近で働いているワーキングプアの賃金が上がれば、それはすぐに消費に回ります。一部は貯金に回るかもしれませんが、まちがっても株への投資やタックスヘイブンには流れません。つまり、国内の中小企業へと還元されるのです。いま日本の景気が立ち直らない理由はこれです。消費者の懐が寒いから、国内の中小企業が元気にならないのです。「中小企業が払える最低賃金に」という声は、結果的に中小企業を苦しめています。

そもそも最低賃金を定める理由は、あまりにも低廉な賃金で働く労働者をなくし、社会の安定をめざすものです。現在の最低賃金の水準ではワーキングプアを生み出しているのですから、最低賃金の水準は大幅に引き上げるべきです。

また、世界的に見ても、最低賃金の決定に支払い能力論が持ち出されるのは異常です。

つまり、最低賃金の決定には、支払い能力論を考慮せず、労働者の生活を守り、国内の中小企業の健全な育成を図る観点で決定すべきなのです。今回の3%の値上げは、政府の意向が最大限に反映されました。つまり、支払い能力は考慮しなくても、最低賃金を引き上げていくことはできるのです。

最低賃金は全国一律に

最低賃金の格差は、すべての労働者の賃金格差に反映します。
たとえば、これは東京と新潟の飲食店の店頭求人です。

どちらも飲食店で、それぞれの地域においては平均的な募集金額です。
このような差が生じる理由は、最低賃金の差によるものです。

収入がこれだけ異なっているのに、支出はそれほど変わりません。
考えてもみてください。
食料品などの日用品の値段はそれほど変わりません。チェーン店のレストランには入れば値段は同じです。
たしかに東京では家賃が高いのですが、新潟なら自家用車を維持しなければなりません。
結果的に、都会も地方も生活費はそれほど変わらないのです。

したがって、若者は収入の高い都会へ流出する事態が生じます。
最低賃金の格差は、ますます地方を荒廃させます。全国一律に設定すべきではないでしょうか。

「安定生活に不十分」と

8月5日の新潟日報に「本県最低賃金22円上げ、753円答申 労使から不満の声」と題する記事が掲載されました。そこに「新潟市南区のパート女性」の話が載っていますが、「生活安定に不十分」としています。その方にさらに詳細を聞きました。

家庭の都合もあり、「清掃(時給780円)と倉庫作業(同750円)」のパートタイマーの仕事を2つ掛け持ちで働いています。
「派遣で働く40代の夫と2人暮らし」をしていますが、夫はかつてブラック企業に勤めてしまったため離職。「夫婦共に正社員を目指してきた」のですが、「正社員として再就職できる企業は残業や連続勤務が必要になるなど、厳しい労働条件が目立つ」ため、結果的に正社員になることができていません。
「夫婦の手取りは合わせて月30万円に届くかどうか」ですが、その中から両親に生活費を渡しながら生活をしています。

最低賃金が時給753円になれば、倉庫作業の時給が3円上がります。しかし、月額にして約360円でしかありません。飛び上がって喜び、買い物に出かける気分になれないほど少額です。一方、税金や社会保障費は上がるばかり。豊かさは、少しも感じられません。
将来は下流老人になるでしょう。だから、目先の贅沢や楽しみよりも、貯金の方が重要です。最低賃金を上げることはもちろん、そうした老後の不安をなくしてもらいたいです。

非正規労働者が4割にも達しているといわれますが、「非正規だから低賃金で構わない」という考え方が問題です。
また、同僚の中には過去に介護離職をしていたり、病気療養後に健康を取り戻しても仕事が見つからず、やむを得ず非正規で働いている人もいます。一度、正社員の職を失うと、再就職に困難を極める状況は改めるべきです。
フルタイムで働ける人は原則として正社員に、そして、事情があって限られた日数・時間しか働けない人も、著しく差別を受けない社会になってほしいです。また、最低賃金だけが上がっても、社会保障が頼りないものであれば不安から個人消費は伸び悩み、経済の好循環は実現できません。本気を感じられる総合的な政策が必要です。

最低賃金に関心を寄せよう

最低賃金に関する議論はゆっくりながら進んでいますが、まだまだ「自分のこと」と感じる人は少数です。また、最低賃金が上がるたびに昇給する低賃金の労働者は、なかなか声を出すことができずにいます。
最低賃金は、すべての労働者の賃金のベースとなっていますが、「他人と協力して環境をよくすることによって自分のこともよくしよう」という考え方がないと、最低賃金は他人事となります。私たちは小さい頃から競争社会に生きているため、協力して環境を変える経験が少なくなっています。
しかし、「自分が一番、他人はそのあと」という考え方のままでは、最低賃金はいつまでも上がらず、回り回って、自分の労働条件もアップしません。国内の中小企業も元気にならないので、景気もよくなりません。

この辺で、発想の転換が必要です。
悪い環境をみんなで協力して変えることで、自分も含めた全体を改善していくという考え方を持って、最低賃金に関心を寄せてください。

ぜひあなたのお考えをお聞かせください。

最低賃金が低すぎる!ワーキングプアをなくす水準の実現への議論が必要だ

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