最賃議事録全国調査(16)

千葉県は、東京と接しているのに、房総半島の方に行くと、ずいぶんと雰囲気が違います。
県内にそうした格差があるためなのか、現在の最低賃金は、千葉県が868円、東京都が958円です。

そうした千葉では、どうやって最低賃金が決められたのでしょうか。
第2回目の千葉県最低賃金専門部会の議事録を見てみることにしましょう。

中央目安が出た直後の労使委員の主張

2回目の専門部会で、労使委員が具体的な金額に関わる主張をし始めます。

労働委員の高柳さんは、連合リビングウェイジ調査の数字を根拠にし始めました。
(不開示部分が1カ所ありますが、高柳さんが所属する「連合千葉」が正解でしょう。)
9df63f0be23eb738fe5a5fab0c631edb 最賃議事録全国調査(16)

「連合リビングウェイジ」とは、労働者が最低限の生活を営むのに必要な賃金水準はどれぐらいなのか、ナショナルセンターである連合が独自に算出しているものです。埼玉県さいたま市をモデルとして計算し、それを消費者物価統計データを元にして、都道府県ごとに換算することで計算しています。
同じくナショナルセンターの全労連も、最低生計費調査を各地で実施していますが、こちらと金額が異なっています。それは、同じマーケットバスケット方式を使っていても、微妙に違いがあってみたりするので、最終的に出てくる金額が異なっています。

ただ、最終的には、目安水準が示されたため、プラス1円まで妥協することになります。
連合リビングウェイジの水準は、偶然かどうかはわかりませんが、雇用戦略対話の政労使合意である「すぐ800円、加重平均1000円をめざす」に近いものになっています。この主張から、それほどかけ離れた数字にはなっていないことがわかるでしょう。

一方、使用者委員の花澤さんは、実際の賃金改定状況をベースにすべきと主張します。
80e8d656ac0381926535b6e98a6de581 最賃議事録全国調査(16)

中央目安額と賃金改定状況はずれているわけですが、経営者側は必ずここから話をします。
「成長があるから賃上げがある」という発想だからです。

このあと、公益委員がそれぞれと個別折衝します。
そして、公益委員の中原部会長がこうまとめます。

a078cb0ed870d0930d2105bfeacc181c 最賃議事録全国調査(16)

ここで、使用者側は「基本的には目安以上のものはあり得ない。極端に言えば、審議自体には応じられない」と主張したことがうかがえます。

また、この次の回が採決する第3回専門部会においても、部会長は、使用者委員から「目安の金額では納得できないけれども、審議そのものには応じるという旨の回答がございました」、「使用者側さんの方はこれ以上のものだったら審議に応じられないというギリギリの線」と述べているので、使用者側は、目安以上は絶対に許さないとかなり強く出たことがうかがえます。

審議において、強く反対する方法として、退席する方法があります。
厚労省のまとめにも、そのことは想定済みです。
77c193544fcf325740163cfef01c597e 最賃議事録全国調査(16)

採決時に退席するのではなく、審議途中に退席を行い、審議をストップさせつつ、外に出て宣伝するという方法があります。
これが「欠席戦術」です。
審議会の定足数を下回れば、審議会そのものが成立しません。
その上さらに、自分たちの主張を世間に訴えるわけです。

本気で最低賃金を上げたい、あるいは上げさせたくないのなら、そういう方法もあるはずです。
今年度の千葉においては公益委員が使用者委員に気を遣ったように読めますが、結果的にはそうした戦術は見られませんでした。

最賃議事録全国調査(17)へ進む

最賃議事録全国調査(16)

目安以上は審議に応じないと強気に出た千葉の使用者委員

この記事が気に入ったらいいね!しよう

にいがた青年ユニオンの最新ニュース情報をお届けします


Twitterでも最新ニュース情報をお届けしています。

最新情報をチェックしよう!

コメント

  1. […] 最賃議事録全国調査(16)に続く […]