目安金額に導かれる議論から外れるには

2017年度地方最低賃金審議会の議事録調査を行なった結果、47都道府県ごとにバラバラになるべき議論に共通している点が見られました。そのため、目安額近くに導かれることになります。それについて説明します。

労働者委員の基本主張

労働者委員は、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」とする政労使合意を目指すことを掲げます。
また、出身労組である連合は、「連合リビングウェイジ」を労働者の最低生計費のデータとして持っていますが、基本的には、政労使合意の金額を裏付けするものとして作られています。ただし、最近では、東京で1000円が目前となってきたこともあり、金額の算出方法を少しずつ改善してきています。

これと同時に、地域間の格差を広げたくない、非正規労働者が増大していて、最低賃金を上げることがそれら労働者の賃上げにつながることを主張します。

使用者委員の基本主張

一方、使用者委員は、国が出してくる賃金改定状況調査の数字を一番に掲げます。この調査では、労働者の賃上げ状況は、1%に満たない程度です。しかし、これではあまりにも低すぎるので、経営者協会加盟の会社における賃上げ状況などを妥協点として示すことになります。

公益委員を味方に付けるために

労使が原則的な主張を述べても、結果は出ません。
では、相手の意見を完全に突っぱねればどうなるでしょうか。
まったく妥協しない姿勢を示してしまったとき、もしかしたら、公益委員は相手方についてしまうかもしれません。そうなれば、採決時に負けてしまいます。負ければ、悪い結果になるでしょう。そのため、互いに、ある程度妥協することになります。

ちなみに、労使とも突っぱねあって、公益委員がどちらでもない意見を出したときには、否決される公算が高いので、早期発行ができません。

事務局は何をしているのか

議事録にはあまり出てきませんが、事務局が水面下での折衝をはかっていると言われています。
各局によって異なりますが、政府の意向を中心にしつつ、早期発行を目指そうとしているようです。

目安額へ吸い寄せられる

結局、こうした力学が働いて、目安額へ次第に近づいていきます。
地域間格差や非正規労働者の増大については、いくらにするのかは明確のデータがありません。
したがって、隣接した地域の動向をにらみながら、いくら上乗せするかが勝負になってしまいます。

格差拡大、低水準に

目安額というのは、都道府県をAランク(都市)からDランク(地方)の4ランクに分けて、Aのほうが大きく、Dのほうが小さい数字を示します。したがって、最低賃金額は、都市と地方でどんどん広がることになります。
また、そもそも時給1000円というのは年収で200万円に達しません。ワーキングプアを生み出す数字です。
最低賃金を決める一要素として「労働者の生計費」がありますが、まったく不足しています。大幅に上げる必要があるでしょう。

どうしたらいいか

こうした審議は、いまはブラックボックスの中で行われています。
国会のように、議論がオープンな場所でもなければ、選挙で選ばれた人たちがやっているわけでもありません。

私たちの働き方、働かせ方、暮らし、そうしたものが大きく変わる議論です。
最低賃金以外にも、税制や下請け保護等もパックで考える必要があるでしょう。

まず、最低賃金法を変えるべきです。

最低賃金については、労働者の生計費を中心に考えるようにすべきでしょう。
同時に、下請け保護は産業育成の観点で必要です。その法制化も必要です。

最低賃金審議会は、オープンにすべきです。
そして、労使代表が入ることはもちろんとして、政治家も入るべきでしょう。
有権者全体の意向を入れるべきです。

いまの水準は低すぎます。
おかげで、ワーキングプアもたくさんいます。
「いろいろな働き方」という名目で広げてきた低賃金の非正規労働者ですが、転換しなくてはなりません。

目安金額に導かれる議論から外れるには

最賃議事録全国調査から

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