NEW GAME! 第10話「正社員ってお給料を安くするための法の抜け穴…」について労働組合の中の人がマジメに解説してみました

2016年7月からテレビアニメが放送されているNEW GAME!(ニューゲーム)。
その第10話が「正社員ってお給料を安くするための法の抜け穴…」でした。

まだ見ていないという方のために、一応説明しておくと、主人公の涼風青葉さんが高校を卒業後にゲーム会社「イーグルジャンプ」に就職。女性ばかりの部署での勤務生活を描いたお話です。

まだ第10話を見ていないよという方は、以下を読むのはご覧になってからでも遅くありませんので、またどうぞ。
とりあえず、説明をすすめたいと思います。

で、第10話ですが、その青葉さんが上司である八神コウさんに疑問を投げかけます。

青葉さん「なんでアルバイトは、土日、来ちゃダメなんですか?」
コウさん「会社によるけど、時給だから、残業や土日まで働かれると、青葉より高い給料になっちゃうし。」
青葉さん「ま! まさか!! 正社員っていうのは、給料を安くする法の抜け穴……ッ!?」

この会話の内容について掘り下げたいと思います。

パートタイマーの残業は想定しないのが普通

パートタイマーというぐらいです。労働時間は、一般の労働者(正規労働者)よりも短いのが常識です。なかには「フルタイムパート」というおかしな働き方もありますが、そっちのほうがおかしいのです。
もちろん、所定労働時間を超えて働くことはあり得ます。その場合は、正社員の場合と同じく、就業規則などで残業の定めがなくてはなりません。さらに、法定労働時間を超える残業の場合は、労働条件明示書でそのことを明らかにしておく必要があります。36協定の範囲内であることはもちろん、時間外割増等の支払いも必要です。
しかし、パートタイマーは、家庭生活上の事情により、短時間勤務を選んでいる場合もあります。残業を前提とするならば、会社はそもそも労働条件の低いパートタイマーとして雇うべきではありません。パートタイマーの残業は想定しないのが普通です。

つまり、「アルバイトが土日に来ちゃダメ」というのは、労使間であらかじめ労働時間についてそのような定めがあるためです。

正社員も時給計算してみよう

正社員というと、時給制ではないのが普通です。日給制、日給月給制、月給制、年俸制などあります。しかし、やはり時間単価は計算しておくべきですね。
計算方法は、別に譲り、話を先に進めましょう。

正社員なのにアルバイトよりも安くなる時間単価の謎

おそらく、どこの会社でも、正社員の時間単価と、アルバイトの時給を比べれば、正社員の方が高いに決まっています。ぴったり同じということはあり得ますが、逆転するとは考えられません。
それなのに、イーグルジャンプでは、アルバイトが残業や土日出勤すると、正社員より高くなるといいます。これはなぜでしょうか。

「サービス残業」という線もなくもありません。正社員は、残業しても残業代が支払われないという状況です。しかし、それならすぐに誰でも気がつきます。
そこで、考えられるのは2つです。固定残業代の悪用か裁量労働制です。

固定残業代の悪用

固定残業代とは、残業の有無にかかわらず、一定額の残業代を手当としてあらかじめ支払うというものです。

固定残業代に関して、ときおり相談が入ります。
「いくらですか」と相談者に尋ねると、給料明細を思い出しながら「大体何万円ぐらいです」と答えられますが、「ではそこに何時間分の残業代が含まれていますか?」と尋ねても、たいがいの方は、「わからない」「説明されていない」と答えます。

会社の方は、「残業した分は、固定残業代で支払い済み」とか「固定残業代を支払っているから、それ以外に残業代はあり得ない」とか、大体そういう説明をしてきます。中には、「それだけ支払っているのだから、残業していけ」という上司までいます。

つまり、この場合は正社員に対して固定残業代がついていて、本来支払いが必要な追加の残業代を支払っていないのではないかと考えられます。この場合、もちろん違法です。青葉さんは、未払いとなっている残業代があるのではないかと疑った方がよいでしょう。

裁量労働制というろくでもない制度

それともう一つは、裁量労働制という制度を利用したもので、舞台がゲーム業界であるということを考えれば、こちらの可能性の方が高いでしょう。
クリエイティブな業務の場合、上司がいちいち仕事について指示するのでなく、技能のある労働者がある程度裁量を持って仕事をするような状況になります。そこで、残業時間については、ある程度これぐらいの残業時間になるんじゃないかなという見込みを立てて、あらかじめその分の残業代を支払ってしまっておしまいにするというのが裁量労働制。
これが裁量労働制の建前です。

はっきりいって、ろくでもない「みなし労働時間制度」で、まさに法の抜け道です。
考えてみればわかりますが、会社側が必要以上に残業代を出すわけがありません。本来支払うべき残業代を出したくないから、導入する裁量労働制なのです。
終わらない業務の山に、迫る納期となれば、どんなことでもやり遂げなければ次がないという業界だからこそ、悪用される制度です。

これからの人たちにこそ考えてもらいたい

以前、「アニメ若手制作者の年収が110万円になる理由」という記事でも紹介しましたが、確かに魅力のある仕事かもしれませんが、それならば労働条件もきちんと整え、まともな生活ができるようにすべきです。

これからゲーム製作をめざす人は、アルバイトよりも時間単価の低い正社員になりたいでしょうか。それで本当にクリエイティブな物を産みだせるでしょうか。
自分や家族の生活を犠牲にしなければいいものが産みだせないというのは、一刻も早く改善すべきだと思うのです。
そのためには、一匹狼となって勝負する相手を間違えるのでなく、みんなで団結して業界全体を改善すべきではないでしょうか。

ところで、経済界は、いつでも残業代を支払いたくないと考え、「残業代ゼロ法案」を成立させたいと狙っています。
一方、近年はブラック企業への批判の高まりもあり、政府ですら残業時間の上限を法制化することについて検討しなければならないところまで追い詰めています。

政府は、労働者に事実上無制限の時間外労働()を課すことが可能とされる労働基準法の「36(サブロク)協定」の運用を見直し、1か月の残業時間に上限を設定する検討に入った。
読売新聞 政府が残業規制を強化へ…上限設定、罰則も検討 2016年9月7日

大事なことなので、もう一度言いますが、これは世論の高まりがあって、政府ですら押されているからです。政府が勝手に検討しているのではありません。

残業代については、労使が全面的にぶつかって、常にたたかっている状態です。
つまり、裁量労働制が導入されたことについては、経済界側が押し切ったからであり、残業時間の上限の法制化はこちらが押しつつある状態です。
気を抜けば、もっとひどいことになるでしょう。
長時間労働は、個人の自由な時間を減らし、家族との団らんのひとときを奪います。時に、過労死を生み出し、いのちすら奪います。絶対に許せるものではありません。

にいがた青年ユニオンは、すべての労働者が幸せになれるお手伝いをしたいと思っています。ぜひあなたも参加してください。お待ちしています。

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