
2025年度の最低賃金は「大幅」な引き上げになったとされていますが、その一方で、発効日を遅らせる措置を取る地方が目立ちます。
特に、秋田は2026年3月31日に、群馬は2026年3月1日に発効します。従来の発効日が10月ということを考えれば、約半年にわたり2024年度の最低賃金額に据え置かれることを意味しており、一方的に労働者に不利益を押し付けるものです。
レインボーユニオンは、9月4日付で両労働局あてに抗議書を出しました。
秋田労働局長 山本 博之 殿
秋田地方最低賃金審議会会長 臼木 智昭 殿
秋田地方最低賃金の遅すぎる発効日に抗議し、再考を求めます
8月25日に秋田地方最低賃金審議会は、「秋田県の最低賃金額を現在の1時間951円から1,031円(引上げ額80円、引上げ率約8.41%)に引き上げるよう」答申しました。同時にその発効の日を令和8年3月31日からとしています。また、最低賃金額を答申どおり引き上げた場合、推計で4万6千人以上の労働者の賃金引上げが必要となる。」とも発表されています。
最賃近傍の低賃金で働く労働者にとってこの間の物価高騰、とりわけ食料品の高騰は生活を直撃し、最低賃金の一日も早い引き上げが求められています。そのような現状の中で、従来の10月発効を大幅に遅らせる3月31日発効は約半年にわたって低賃金労働者に生活苦を強いるものであり容認できません。強く抗議します。
また、他の地方最低賃金が軒並み1000円以上になる中で半年にわたって951円の最低賃金が続くことで、人口流出に拍車がかかり、人手不足はさらに深刻になることが予測されます。秋田県の企業経営者にとっても大きな問題ではないでしょうか。
今年は中央最低賃金審議会の審議が遅れ、全国的に地方審議会の答申も影響を受けています。石破政権の「2020年代に1500円」という政策目標との関係でも、80円の引き上げは決して十分ではありませんが、大幅な引き上げが求められることは当然に予測されていたことです。にもかかわらず「準備期間」を理由に発効日を遅らせることは、一方的に労働者に不利益を押し付けるものです。大幅な引き上げを実現するために必要な措置を行うことは、本来、政策目標を掲げた政府の責任ではないですか。労働者につけを回すのはとんでもないことです。「80円の引上げ」も、来年3月31日の発効では実質的に12ヶ月分の6ヶ月しか適用されず、40円の引上げと同じことです。目安額を大幅に下回る数字です。
10月から賃金が上がることを期待する最賃近傍の低賃金で働く多数の労働者は生活の目途を失います。最低賃金はいまや生存権そのものにかかわるものです。2021年以来、物価は上がり続け、実質賃金は下がり続けています。生活のゆとりがない低賃金労働者はまさに生活を削り、食費を削り、かろうじて生存を維持する状況に陥っています。秋田労働局の推計する4万6千人以上の労働者は一日も早い最低賃金引き上げを強く望んでいます。地方審議会の答申が遅れたと言っても、速やかに手続きを行なえば、8週間後には発効できるはずです。遅くとも10月中の発効を実現できるよう再考を求めます。
群馬労働局長 上野 康博 殿
群馬地方最低賃金審議会 会長 米本 清 殿
群馬地方最低賃金の遅すぎる発効日に抗議し、再考を求めます
8月26日に群馬地方最低賃金審議会から、「時間額を1063円に引き上げること(78円の引上げ)が適当である。」という答申が行われました。答申文別紙ではその効力発生の日を令和8年3月1日としています。
最賃近傍の低賃金で働く労働者にとってこの間の物価高騰、とりわけ食料品の高騰は生活を直撃し、最低賃金の一日も早い引き上げが求められています。そのような現状の中で、従来の10月発効を大幅に遅らせる3月1日発効は約半年にわたって低賃金労働者に生活苦を強いるものであり容認できません。強く抗議します。
また、他の地方最低賃金が軒並み1000円以上になる中で半年にわたって985円の最低賃金が続くことで、人口流出に拍車がかかり、人手不足はさらに深刻になることが予測されます。群馬県の企業経営者にとっても大きな問題ではないでしょうか。
今年は中央最低賃金審議会の審議が遅れ、全国的に地方審議会の答申も影響を受けています。石破政権の「2020年代に1500円」という政策目標との関係でも、78円の引き上げは決して十分ではありませんが、大幅な引き上げが求められることは当然に予測されていたことです。にもかかわらず「相当の準備期間が必要」という理由で発効日を遅らせることは、一方的に労働者に不利益を押し付けるものです。大幅な引き上げを実現するために必要な措置を行うことは、本来、政策目標を掲げた政府の責任ではないですか。労働者につけを回すのはとんでもないことです。「78円の引上げ」も、来年3月の発効では実質的に12ヶ月分の7ヶ月しか適用されず、45.5円の引上げと同じことです。目安額を大幅に下回る数字です。
10月から賃金が上がることを期待する最賃近傍の低賃金で働く多数の労働者は生活の目途を失います。最低賃金はいまや生存権そのものにかかわるものです。2021年以来、物価は上がり続け、実質賃金は下がり続けています。生活のゆとりがない低賃金労働者はまさに生活を削り、食費を削りかろうじて生存を維持する状況に陥っています。一日も早い最低賃金引き上げを強く望んでいます。地方審議会の答申が遅れたと言っても、速やかに手続きを行なえば、8週間後には発効できるはずです。遅くとも10月中の発効を実現できるよう再考を求めます。