生活保護の申請件数の減少は喜べるのだろうか

厚生労働省は6月1日、2022年3月分の生活保護に関する結果を公表しました。

生活保護の申請件数は1万9793件で、前年同月比3055件(13。4%)減少。保護開始世帯数は1万7751世帯で、同2585世帯(12.7%)減少しました。

生活保護を利用を申請する件数が減少したことは、経済状況と関係あるのでしょうか。

「世帯類型別世帯数及び割合」を見ると、母子世帯は5.9%減少しているものの、勤労世帯が含まれる「その他の世帯」は0.9%増加しています。総数では0.1%の増加です。つまり、生活保護の入り口は小さくなったものの、出口は閉じたままと見れば、単に経済状況が好転したからとはいえません。

日本の生活保護は、貧困を解決できていません。欧米先進国では捕捉率が40~80%、これに対して日本は10~20%と低いことが知られています。つまり、単純計算で本来利用できる人のうち、約5人に1人しか利用していません。残りの4人は、健康で文化的な最低限度の生活を営めていないことを示しています。

これは、生活保護を利用することが恥ずかしいといったスティグマ(烙印)が強いこと、生活保護利用者に対するバッシングがあること、「水際作戦」のような役所の姿勢の問題が絡んでいます。

このことによって、貧困状態にありながら生活保護を利用せずに悲しい亡くなり方をする事件として現れます。

コロナ禍は少しずつ収まるように見えています。しかし、返済を要する貸付を主としてコロナ対策が打たれてきたことから、これからが大変です。

今ギリギリで頑張っている人もいると思いますが、その頑張りと生活保護制度の利用が合わされば、もっと早く、もっと楽に、もっと確実に生活は改善します。生活保護は、金銭的な援助だけではありません。暮らしをどうするか相談に乗ってくれる制度です。遠慮せずに利用しましょう。

生活保護を利用するには、役所の総合窓口へ行って「生活保護を利用したいがどこへ行けばいいですか」と尋ねるところから始まります。あれこれとまどいや悩みが頭をよぎるかもしれませんが、「生活保護を申請します」と言って申請の意思を示してください。

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