上司から特に強く注意されたり、注意されることが続いたりすると、気になる人は気になり始めるでしょう。これって、パワーハラスメントなんだろうか。
業務命令とパワーハラスメントは何が違うのか、理解しておきましょう。
パワハラの3要素
パワーハラスメントは、3つの要素をすべて満たすものとして整理されています。
優越的な関係
その行為を受ける人が、その行為をする人に対して、抵抗したり、拒絶することが難しいことがほぼ確かと思われる場合です。
たとえば、職務上の地位の高い人によって行われるものとか、同僚や部下であっても、業務上の知識や経験の豊富さの格差があって、その人なしに業務が遂行できなかったり、集団になっていじめるようなケースです。
業務の適正な範囲を超える
一般的に考えて、その行為が明らかに業務上必要性がなかったり、必要性があるにしてもそのような方法である必要性がない場合です。
業務として不必要な行為、その目的を大きく外れている行為、手段として適切ではない行為、回数や人数などさまざまな要素を考えて一般的に許される範囲を超えている行為が当てはまります。
身体や精神に苦痛を与えたり働く環境が悪化する
その行為を受ける人が、身体的だったり精神的に圧力を加えられて負担を感じたり、そうした行為により就業環境が不快になって、重大な悪影響が出る場合です。
具体的な6つのパターン
こうした3つの要素を満たすものがパワハラですが、具体的に6つのパターンがあります。
まず、身体的な攻撃です。上司が殴ったり、蹴ったりする行為です。ただし、同僚どうしでけんかをするようなものは、異なります。
それから、精神的な攻撃です。上司が部下に対して、人格を否定するような発言が出てくると、これになります。とはいっても、上司としても職場の秩序を守ることは必要な業務なので、たとえば遅刻を繰り返したり、服装を整えてこなかったり、社会人としてのマナーがなっていなかったりするために強く注意するようなケースは、パワハラではありません。
人間関係からの切り離しは陰湿です。上司が自分の意に沿わないからといって、部下を仕事から外して長期間にわたって別室に隔離したりするケースです。新人研修などの業務上必要な研修のために、短期的に移動するケースは、パワハラとは言えませんが、もし退職強要が行われているのなら、問題です。
過大な要求をすることもパワハラの一種です。肉体的な苦痛を伴うような過酷な条件で勤務に直接関係のない作業を行わせたり、深夜に及ぶまで作業を命じた上に早朝出勤させるような場合が考えられます。
逆に、過小な要求をすることもパワハラです。技術職の人を事務職にしたり、管理職の人の役職を奪って、誰でもできるような受付だけをさせるなど、働く人の誇りを傷つけます。ただし、会社経営上の理由で一時的なケースなど、やむをえないケースもあります。
個人的な事柄を侵害されるケースもあります。私的に写真撮影をしたり、思想信条を理由として監視したりする場合です。労働者は、労働力だけ売っているのであって、身体や良心まで売り渡しているわけではないのですから、当然です。
業務命令とパワハラの境界
上司は、その人個人として上司をやっているわけではありません。会社組織の上で、上司を任されています。一定範囲でマネジメントをしています。
いままで見てきたように、そのマネジメント業務の範囲を超えていないか、範囲を超えていなくても手段が適正かどうか、人格権を侵害していないかどうか、その回数や人数はどうか、判断にあたり考慮されることになります。
もちろん、業務命令を受けても、部下の方が知識や経験豊富で優越的な地位にあり、それを利用したり、部下が結託して集団でいじめかえすのも、パワーハラスメントになります。
基本的には、会社組織の中において、それぞれの人が与えられた職務に対して誠実であれば問題は起きません。しかし、人間の集団ですから、ひずみはどうしても出てくるものです。労働組合は、そうしたときに役に立つかもしれません。選択肢の一つとして覚えておくといいでしょう。
会社に労働組合がなくても、地域にある労働組合は、全国どこにでもあります。にいがた青年ユニオンもそうした労働組合の一つです。
あなたも労働組合に加入できるので、まず相談してみてください。
業務命令とパワハラの違いは何ですか
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