労働組合が平和運動するのはなぜですか

暑い8月がやってきました。1945年当時の日本も暑かったことでしょう。

労働組合が平和運動に携わるのか、考えてみましょう。

1945年の出来事

1939年から始まった第二次世界大戦は、ドイツ、日本、イタリアを中心とする枢軸国陣営と、イギリス、ソ連、オランダ、フランス、アメリカ、中華民国などの連合国陣営の間で戦われました。

第一次世界大戦も総力戦でしたが、航空機や戦車が著しく発達し、核兵器まで登場しました。国民は献身的な協力を要求され、民間人の住む都市への爆撃、占領下の強制労働など、多くの民間人も命を落としました。

地上戦が行われた沖縄では、6月23日に組織的な日本軍の抵抗が終結。このため、沖縄県では6月23日が慰霊の日としています。

1945年7月26日、ポツダム宣言を発して日本の無条件降伏を要求。8月6日に広島市に原子爆弾が投下され、8月8日にソ連が対日宣戦布告、8月9日長崎市にも原子爆弾が投下されました。

8月14日、日本政府がポツダム宣言の受諾を連合国に通告。

8月15日、国民に日本の降伏がラジオ放送で連絡されました。各方面軍には順次、戦闘停止の命令が出ましたが、その命令が行き届かなかったところには、連合軍との戦闘が続きました。

9月2日には、日本政府が降伏文書に調印して即日発効することとなります。

戦争はなぜ起きるのか

戦争はなぜ起きるのでしょうか。

第一次世界大戦後に作られた国際労働機関(ILO)憲章には、次のように書かれています。

世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができるから、
そして、世界の平和及び協調が危くされるほど大きな社会不安を起こすような不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し、且つ、これらの労働条件を、たとえば、1日及び1週の最長労働時間の設定を含む労働時間の規制、労働力供給の調整、失業の防止、妥当な生活賃金の支給、雇用から生ずる疾病・疾患・負傷に対する労働者の保護、児童・年少者・婦人の保護、老年及び廃疾に対する給付、自国以外の国において使用される場合における労働者の利益の保護、同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認、結社の自由の原則の承認、職業的及び技術的教育の組織並びに他の措置によって改善することが急務であるから、
また、いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となるから、
締約国は、正義及び人道の感情と世界の恒久平和を確保する希望とに促されて、且つ、この前文に掲げた目的を達成するために、次の国際労働機関憲章に同意する。

国際労働機関憲章 前文

産業革命以後生み出された労働者は、酷い労働条件で働かされ、都市のスラム街に住むようになりました。労働時間を規制したり、生活できる賃金を保障したり、児童労働を禁止したりしないと、排外主義的なナショナリズムが浸透して、大きな社会不安が醸成されます。その結果、自国と他国の間にいさかいが起き、戦争へと突き進みます。

労働組合は、このような歴史を経験しているから、労働条件の向上させると同時に、労働条件の低下によって引き起こされる戦争に反対します。

二度の世界大戦ではっきりしたように、戦争は総力戦となります。つまり、軍人だけではなく、民間人や都市がターゲットになります。

平和な世界を享受していると、それを忘れてしまうかもしれませんが、今一度、歴史を忘れないようにしないと、第三次世界大戦は悲惨なものになるでしょう。

フィラデルフィア宣言も紹介します

国際労働機関は1944年5月に「国際労働機関の目的に関する宣言」(フィラデルフィア宣言)を出しています。

その冒頭は、とても大切です。

総会は、この機関の基礎となっている根本原則、特に次のことを再確認する。
(a) 労働は、商品ではない。
(b) 表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。
(c) 一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。
(d) 欠乏に対する戦は、各国内における不屈の勇気をもって、且つ、労働者及び使用者の代表者が、政府の代表者と同等の地位において、一般の福祉を増進するために自由な討議及び民主的な決定にともに参加する継続的且つ協調的な国際的努力によって、遂行することを要する。

国際労働機関の目的に関する宣言

まず、「労働は商品ではない」のくだりです。「商品」とは、売る側はもうけるために、買う側はその品物を手にするために売買契約に基づき売り買いします。

労働は、労働者の労働する能力を売り、買い手である使用者はそれを時間で買うと表現されることがありますが、一般的に言われる商品とは異なるものだとしています。

労働者は、日々の生活のためにどうしても労働力を売らなくてはなりません。そのため、労働条件は低下する圧力が働きます。商品なら、競争の世界ですから仕方のないことですが、そうではないのだというのです。

当然、労働は商品ではありませんから、売り手である労働者は、自分たちの労働力の値段について協定を結び、労働条件が低下しないように労働組合を作ることになります。

次に「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である」です。誰かが犠牲になるような、たとえば非正規労働者の労働条件を低いままにしておくと、全体の労働条件も低いままに置かれるというふうに考えることもできるし、富む者がもっと富むような制度にしておくことは、危険なことだと言い換えることができます。

労働組合は、組合員の労働条件を守るだけでなく、労働者全体の労働条件を守るように行動しなければなりません。 また、社会制度に不公正がないかどうか、チェックする必要があります。

今の日本はどうか

ヘイトスピーチを規制する動きは進んできましたが、それでもまだまだです。過去の戦争の出来事から目をそらそうとする人もいます。フィラデルフィア宣言に「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない 」とも書かれています。

それなのに、「表現の不自由展」にいちゃもんをつける政治家まで出てきて、表現の自由を求める市民が抗議しています。

ナショナリズムに突き動かされている人たちを見るたびに、国際労働機関憲章を思い出し、その危険性を感じます。

煽る本人たちは、一律に労働条件が低いわけではないようですが、誰かを叩かなければ、自己と社会を維持できない、他者を叩くことで所属感を満足させる姿には、たとえば軍事産業を大きくしたい人に利用されているのだと思います。

メディアもSNSも発達している時代です。裏の裏まで考えて、必ず立ち止まるくせを付ける必要があるのではないでしょうか。

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