
2025年度地域別最低賃金の最大引上げ額は、熊本の82円と報じられています。
熊本県内の最低賃金は、26年1月から、1034円となることが決まりました。
熊本地方最低賃金審議会は4日、熊本県内の最低賃金を1034円とするよう、熊本労働局に答申しました。
これに対し労働者側は、2026年1月となっている発効予定日の前倒しを求め、使用者側は引き上げ額の算定根拠の見直しを求めるなど、労使双方が異議を申し出ました。
異議は22日の採決の結果、賛成少数で退けられ、最低賃金を1034円に改定することが決まりました。
本当でしょうか?
発効は越年
引上げ額は大きく見えますが、からくりがあります。それは発効日です。
今回の引上げは2026年1月1日からとなっています。例年は10月の発効ですから、3ヶ月の遅れです。最低賃金近傍で働いている人は、その分だけ手取りが減ります。
2025年10月1日から2026年1月1日は、92日間。1年365日ですから、引上額82円は、92÷365の割合だけ、損をしています。
それで計算すると、実質的な引上げ額は61円33銭となります。
これは目安額の64円をも下回ります。
2024年度熊本県最低賃金は、952円だったので、実質的な2025年度の最低賃金は1013円33銭となり、これと同様に他県も計算すると、全国で44位でしかありません。
「全国最大」とはかけ離れているのです。
10月発効は譲れない
引上げ額が大きくなるにつれて、少しの発効の遅れでも実質的な引上げ額の減少につながることがわかりました。
最低賃金の引上げは、労働組合がないような職場であっても、春闘での賃上げの成果を広げるために必要です。春の賃上げの影響が越年するということになると、労働組合のない職場で働く労働者は、それだけ手取りが減るのです。
発効日の遅れは熊本だけではありません。10月発効は20都道府県にとどまっています。「2020年代に1500円」という政府方針にさえ届かない目安でしたが、その目安でさえ値切る行為は、経営者側の抵抗と見るべきです。
来年度は、こうした発効日の遅れを許さないたたかいが必要です。
最低賃金「全国最大」引上額の熊本は本当は目安さえ超えていない
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