岸田内閣の「新しい資本主義」は掛け声ばかりで、これまでの反省がないため、何をするのかはっきりしません。経団連の2022年度経労委報告はそれに対応しています。
賃上げに前向きと評されていますが、本当にそうでしょうか。
特に、春闘に向けての方針は、「企業主義」でまったく変わっておらず、自己中心的です。
最近よく言われるようになりましたが、この25年間賃金の上がらない国になりました。格差が開き、閉塞感で覆われています。コロナ禍で影響を受けているからを理由にしていますが、個々の企業が賃上げをどうするか決定していたのでは、この競争社会において個別の会社が大きく賃上げすることはできず、逆に賃下げする会社も出てくるので、全体として賃金を上げることはできません。
それに業績が悪いのは、労働者の責任ではありません。もっぱら経営者の責任です。社外で生じる変化は、当然そうと見込んで経営判断しなければならないものであって、見通しが悪いのは経営者の責任です。支払い能力がないのも経営者の責任です。
一方で、賃金は労働者にとって生活の糧です。それは、この社会を回り回って経済を動かします。
企業ごとの実業に照らして賃上げするというのは、経営者の自己中心的な考え方です。
さらに、「企業の発展と働き手の成長をともに実現するには労使協働が不可欠」として、「経営のパートナー」「未来志向の労使関係」と呼んでいますが、労働組合は、企業の経済活動のためではなく、正義と人権を守るために活動するものです。企業の活動に取り込まれる御用組合ならいざしらず、貧困格差をなくすとりくみや、地球環境の保全など優先してとりくまなければなりません。
少し考えてみれば、同一労働同一賃金は、同じ会社の中に限らず、別の会社であっても成り立ちます。わかりやすいところでは医療福祉分野です。日本全国どこでも同じサービスで、だから同じ金額を負担します。製造業でも同じでしょう。車のボンネットをつくる工程があるとして、ある会社と別の会社でなにか大きく違うでしょうか。そこで働く人は、同じような賃金で良いはずです。
それをことさら「個々の企業」と強調するのは、春闘で産業や職種ごとに一律の要求をされたら困るからです。労働者側としては、企業の論理に騙されないようにしましょう。
新しい資本主義に対応した経労委報告は自己中心的
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