セーフティーネットの最低賃金制度

日本では非正規労働者が増加し、正社員であっても、いつ最低賃金付近で働く労働者になるかもしれません。

1日8時間、週5日働けば、当たり前の生活ができるようになる。そうあるべきです。

貧困問題を解決するには、だれでも安心して生活できる水準の最低賃金でなくてはなりません。

最低賃金とは

最低賃金法という法律で、賃金の下限額が決められます。その金額は全国一律ではありません。毎年10月に地域別最低賃金が各都道府県ごとに改定されます。たとえ労使がこの最低賃金額未満で働くことを約束しても無効となります。

この法律は、正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣労働者などの呼び方や働き方によって適用されないことはありません。試用期間中の労働者であっても適用されます。

最低賃金の理念

最低賃金の定めは、まず労働基準法に始まります。

賃金の最低基準に関しては、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の定めるところによる。

労働基準法28条

労使の力関係を考えたとき、使用者側が強く、労働条件はどんどん低下します。それを防ぐための労働基準法です。

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

労働基準法1条

これを受けて、最低賃金法に、

この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

最低賃金法1条

とその目的が書かれています。

もともと、憲法には、

賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

憲法27条2項

としていて、労働者を保護するための措置を求めています。

ワーキングプア

働いても貧困な状態がワーキングプア(働く貧困層)です。

2008年秋から始まったリーマンショックで、大量の派遣切りが行われ、路上に放り出されました。日本で「貧困」が広がる現実を突きつけられたのです。

非正規労働者は、労働者の約4割を占めるに至りました。

こうした時代の流れに、最低賃金は、家計補助的な労働者の収入が、実生活上の賃金となったのです。

最低賃金は誰が決めているか

最低賃金は、2つの段階を経ます。

まず、中央最低賃金審議会で各種統計や労使の意見聴取を経て、「目安」を決定します。

その次に、都道府県ごとにもうけられた地方最低賃金審議会が「目安」を参考に意見をまとめ、それに基づき、各労働局長が決定します。

最低賃金審議会は、中央も地方も、労働組合の役員などからなる「労働者委員」、経営団体の役員などからなる「使用者委員」、大学教授や弁護士などからなる「公益委員」が同数参加して、三者構成となっています。

よく問題となるのは、労働者委員が、最低賃金付近で働く当事者の労働者ではないという批判です。大手企業の労働組合出身の役員から選ばれることも多く、そのために非正規労働者や下請け会社の労働者の意見がどこまで反映されるか疑問です。

地域別最低賃金から全国一律へ

地域間格差が大きいことは、大問題です。

「都市部に対して地方は生活費がかからない」というのはデマです。

地方では公共交通機関が発達しておらず、自動車関連の経費が必要です。また、NHK受信料、スマートフォンの通信費、コンビニで売られている商品に格差はありません。教育費は、むしろ地方出身者は下宿代がかかります。

大幅な水準引き上げを

最低賃金額は「生きるための最低限」ではありません。「健康で文化的な最低限度の生活」でなければなりません。

労働者の生活実態から調査した静岡県立大学の中澤秀一准教授が全国各地で行った調査では、月22万から24万円が必要で、時給に換算すれば1500円となります。

にいがた青年ユニオンも参加している最低賃金大幅引き上げキャンペーンでは、「いますぐどこでも時給1000円、めざせ1500円」を掲げています。

中小零細企業への支援

最低賃金を大幅に引き上げて全国一律にするには、中小企業への支援も必要です。

たとえば、健康保険料、労働保険料、厚生年金保険料等の減免する制度を導入すべきです。さらに、政府はキャッシュレス制度の導入を促進していますが、手数料の減免も求めるべきです。また、下請法、独占禁止法の強化も必要です。

当事者の意見を反映すべき

非正規労働者の割合が約4割である現状からして、中央も地方も最低賃金審議会の労働者委員は、最低賃金近傍で働く労働者やそれらでつくる労働組合も入れるべきです。

また、公益委員についても、福祉に携わる専門家を入れるべきでしょう。

そもそも、金額審議にかかわる審議会は、非公開とされることがほとんどで、リアルタイムで経過を検証することができません。

日本弁護士連合会貧困問題対策本部から「最低賃金: 生活保障の基盤」が出版されています。国内事情だけでなく、諸外国の調査結果も掲載されているので、ぜひ一読されて、日本と比較してみてください。

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2008年に誕生した労働組合。労働条件だけでなく、暮らしや健康問題にも強い関心を持つ。「にいがた」発祥ではあるが、どこに住んでいても、どのような働き方でも加入できる。もちろん、「青年」でなくても加入できる。

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