【ブラックバイト警戒中】学生バイトのトラブル対処 | レインボーユニオン

学生バイトのトラブル対処

学業との両立を阻むブラックバイトに、我慢は必要ありません


必ず解決できます。

問い合わせる

学業と両立し得ない働かせ方、違法な働かせ方を学生に強いるブラックバイトは、解決のための王道を進む決意ができたら、必ず解決できます。 ブラックバイトは、仲間や家族のためにユニオンに加入して解決しましょう。

高校生や専門学校生、大学生など、学生バイトの労働相談を受け付けています

それってブラックバイト

サービス残業、自爆買いさせられる、休むと罰金を取られる、無理なシフトを組まされる、休みたいのに休ませてくれない、辞めさせてもらえない。こんな学生バイトからの相談があります。

解決は難しくありません。あなたがあきらめない限り、ちゃんとあなたが行動すれば大丈夫です。

トラブルに巻き込まれたら

  • あきらめない。自分は悪くない。
  • 困ったら専門家に相談しよう。
  • 録音、メモなどの証拠を残そう。
  • 会社の上司の言い分を鵜呑みにしない。

学生が行うアルバイトの間で、「ブラックバイト」と呼ばれる働かせ方が広がっています。コンビニエンスストア、個別指導塾や家庭教師、アパレル店員などで、暴言や暴力にさらされる、学業に支障を来すほど長時間労働に従事させられる、休憩を与えてくれない、辞めさせてくれない、シフトを勝手に増やすなど、学業と両立しえない働かせ方、違法な働かせ方の被害にあうのです。それに慣れてしまうと、精神的に壊されてしまい、学校生活や日常生活に支障を来すケースも出てきたり、それが普通だと思って、ブラック企業にこきつかわれるようになったりします。

ブラックバイトに対して、どう対処したらよいのでしょうか。ブラックバイトがなぜ広がったのでしょうか。どうしたら止められるのでしょうか。それを順に見ていきます。

あなたはブラックバイトでも働かなくてはなりませんでした

あなたは学生です。高い学費を支払わなくてはなりませんでした。奨学金も借りなくてはなりませんが、将来返済することができなくなって困っているというニュースもあります。親の生活も大変で、親からの仕送りを当てにしているわけにはいきません。とても不安です。だからこそ、アルバイトは欠かせません。 ですが、バイト先は「ブラックバイト」です。辞めればいいと他人は簡単にいいます。でも、働き続けなければならない理由があるのです。

泣き寝入りしないで相談する

多くの人が泣き寝入りする中、あなたは思い出しました。 ユニオン(労働組合)です。ユニオンに相談しましょう。

解決にむけて

あなたは労働組合に加入し、労働組合員としての権利を行使します。 つまり、使用者に対して、要求し、交渉し、行動します。 不合理なことに適応したりあきらめたりするのではなく、不合理を変えればいいのです。 そのためには、あなた自身の力を発揮してください。決意さえすれば手伝う人はたくさんいます。そうすれば解決できるでしょう。 もちろん、働く人を守るための法令もあります。 考えてもみてください。相手が悪いことをしているのですから、あきらめなければ必ず解決できます。 そして、自分自身の人生を切り開く体験をしたあなたは、いままでのあなたとは違うはずです。

解決のためにご相談ください

レインボーユニオンは、あなたの味方です。そのトラブル、私たちと一緒に解決しませんか。

ブラックバイト対処の6か条

「もしかしてブラックバイトかな…」と思ったら、思い出してください。

  1. ブラックバイトなら、我慢しないでください。耐えてもよいことは一つもありません。
  2. ブラックバイトによって、心身を壊すことがあります。
  3. ブラックバイトから、逃げたり、たたかったり、何らかの対処をしてください。
  4. ブラックバイトに洗脳されて、それがブラックバイトだとわからなくなるときがあります。いま一度チェックしましょう。
  5. ブラックバイトかどうかわからないときは、まず働くときのルールを学んでみましょう。
  6. ブラックバイトの相談窓口は、身近にあります。気軽に相談してみることが大切です。

それでは、順に見ていきましょう。

ブラックバイトに負けないためには

結論から言えば、あなたにたたかう覚悟ができたら、必ず解決できます。また、心身を守るため逃げる方法もあります。

その場から動けなくなるのが、ブラックバイトの特徴ですが、他人の力を借りれば必ず動くことができます。あきらめないでください。

では、具体的に、考え方から解決方法まで順に読み進めていきましょう。

アルバイトを欠かせない学生生活に

経済状況が悪化するにしたがって、アルバイトをしている高校生や大学生が増えています。小遣いや携帯電話代の支払い、生活費、学費のためと目的はさまざまです。

大学に通うための学費は、年々値上がりしており、その負担は限界を超えています。対して、国民所得は減少。家庭で子どもの教育にかけることのできる費用は限られています。

かといって、日本の奨学金は、ほとんどが「教育ローン」、つまり借金です。非正規労働者がこれだけ増加してしまっている状況の中、数百万円の借金を返済できる安定的な就職口がある保証はどこにもありません。

つまり、学校に通い続けるためには、アルバイト収入を確保することが必須条件になっています。

ブラックバイトの登場

ブラック企業の学生バイト版である「ブラックバイト」が登場しています。アルバイトなのにサービス残業を強制されたり、「自爆営業」(ノルマ達成のために自社製品の購入を強制されること)を無理強いされたり、違法な天引きが行われたりします。

通常、アルバイトと言えば、こうしたブラック企業の違法行為とは無縁でした。雇用が不安定だったり賃金が安い分、嫌なら辞められる、職責が軽い、転職が簡単といった特徴があったのです。ところが、最近になって会社側が人件費を圧縮するため、人手を十分に確保しなかったり、非正規労働者に基幹的労働をさせるといったケースが出てきました。

学生バイトもこうした動きの中に放り込まれ、ブラックバイトが登場するのです。

アルバイトも労働者

ところで、アルバイトであっても労働者だという点を忘れていませんか。労働者は、従属性が強いため、賃金や労働時間などの最低限の基準は、法律で定められています。つまり、学生バイトであっても労働者として法律で守られています。しかし、相手はどうせ子どもだからと、そのルールを守らない悪質な雇い主もいます。

また、学業との両立ができないような働かせ方(ブラックバイト)も問題です。テスト期間なのに無理なシフトを組まされる、売れ残りの商品を買わされる、辞めさせてくれない、精神的ショックを与えるような言動をとるなど、ブラックバイトには、周囲の協力を得ながら、毅然と対応しましょう。

あなたのバイト先がブラックバイトかどうか考えてみましょう。たとえば、次のようなことはありませんか。

  • 契約書や労働条件明示書を受け取っていない。
  • 仕事を辞めさせてくれない。逆に、簡単にクビにされる人がいる。
  • 休憩なしに長時間働かされる。または、休憩時間がとても短い。
  • 労働時間は15分刻みで切り捨てられて計算される。
  • 上司の暴言がひどい。

これ以外にもありますが、もしもこんなことがあれば、ブラックバイトの可能性大です。


保護者のみなさんや学校の先生へお願い

会社の不当な扱いに対して「これも社会勉強だから」などと慰めることは、大人は裏と表がある、卑怯な生き物だと教えているようなものです。実際にアクションを起こすかどうかは別にして、「あなたはよくやった、がんばっていた」「そんな扱いはひどい」と声をかけてください。 ブラック企業やブラックバイトで働くことのないように事前に防止することは大人の義務です。ブラック企業やブラックバイトの特徴を知り、そのような危険性があると感じたときは、その危険性と実際にそれが起きたときの対処法、そして、必ず自分が味方になるということを伝えておいてください。


学生バイトのトラブル例

レインボーユニオンに寄せられた実際の相談から、学生バイトで起こりがちなトラブル例を見てみましょう。そして、あなたの状況と比べてみてください。

シフトを勝手に増やす、減らす

  • テストがあるので休みを申請したのに、シフトを見たら出勤とされていました。休ませてほしいと言いに行きましたが「甘えるな」と逆ギレされました。
  • 学業との両立を考えて週3日という約束でしたが、週4日、週5日と入れられるようになり、疲れて勉強どころではなくなりました。
  • 22時までという約束でしたが、24時過ぎまでシフトを入れられるようになりました。帰ってから勉強すると翌朝になってしまい、学業どころではありません。

学生バイトだということを知っていながら、学業との両立をさせない働かせ方は問題です。また、労働時間も労働条件の一つです。使用者があなたの意向を無視して勝手に変えることはできません。

チェックしよう 長期休暇に入ると、シフトが大幅に増加させられるケースが増えます。その前に、シフト希望についてよく話し合っておきましょう。曖昧な返事はよくありません。はっきりとダメなものはダメと言いましょう。

法律に違反する

  • 休みになると朝から晩まで途中休憩なしに働かされます。
  • 塾の資料作成は持ち帰り残業させられましたが、残業代は支払ってもらっていません。
  • 深夜22時を過ぎて働かされることがあります。ですが、タイムカードは22時よりも前に押させられます。
  • コンビニで働いていますが、クリスマスシーズンの前になると、販売ノルマがあります。ノルマを達成できないと、ケーキ代が天引きされます。

6時間を超えて働かせる場合には45分、8時間を超える場合は1時間の途中休憩が必要です。連続して働き続けると、ミスも発生しますし、第一、能率が落ちます。休みなしに働かされるという場合は、労働基準法に違反しています。

塾においては、授業時間だけでなく、テスト作成や採点、会議の時間も労働時間です。持ち帰り残業も当然、労働時間としてカウントされます。賃金未払いなので、労働基準法に違反しています。

18歳未満の場合は、深夜労働は原則禁止されています。また、18歳以上でも、サービス残業はもちろん違法ですし、22時を過ぎたら深夜割増をつけなければ、労働基準法違反です。

アルバイトに対する過重なノルマは問題です。自社製品の強制買い取り(自爆営業)は違法ですし、天引き(賃金からの控除)ももちろん違法です。

辞めさせない、罰金を取る

  • 辞めますと言っても、無視されます。シフトも今まで通りに組まれます。
  • 仕事を辞めたいのに「辞めるのなら賠償しろ」「代わりの人を見つけるまで辞めさせない」と言われました。辞め方がわからず、怖かったので、今も仕事を辞めることができません。
  • 仕事を辞めると言ったら、「長期のバイトの約束なのに早く辞めたから」という理由で、罰金を取られました。
  • 「早く辞められると困るから」とバイトし始めるときに、預かり金と称してお金を取られました。

労働者の募集は、経営者の仕事です。また、退職も通常は2週間前までに言えば、辞められます。国民には、職業選択の自由があるからです。罰金(懲戒としての減給)は、論外です。

脅す、いやがらせ

  • 仕事に行けない理由を説明しても、「来ないなら学校に言う」「被害額を請求する」と脅してきます。

会社にとって、当日急に誰か休むことは当然ありうることとして想定しておかなくてはなりません。アルバイトの一人が仕事に来れないだけで、業務が回らないなどということはあり得ません。雇用契約は学校とは無関係ですし、被害などあり得ないのに、そのようなことを言うのは、ただ力尽くで言うことを聞かせようと脅しているだけです。

あなたのバイト先は大丈夫ですか?

これらが、よくあるトラブルの一例です。このようなトラブルはけっして他人事ではありません。初めてバイトをするというような場合、このときに泣き寝入りすると、トラウマとなって、その後の人生に影響しかねません。

あなたは決して悪くありません。無法な経営者が悪いのです。

いったい何が悪いのか、そして、どんな対応が正しいのか、労働者の権利について理解し、納得すれば、必ず解決できます。きちんと権利を活用して、課題に向き合いましょう。そのために、レインボーユニオンに加入して、労働基本権を活用する選択肢があります。

チェックしよう 精神的に参ってしまったときには、無理にたたかわず、逃げる方法があります。心身を壊されてからでは遅いときもあります。もしも、ブラックバイトを辞められなければ、すぐに辞める方法があります。ご相談ください。

労働者を守る基本的なルール

労働者を保護するルールについて見ていきます。難しい部分は、読み飛ばし、最後まで読み終えた後で、また読んでみてください。

労働契約とは

「働く」ということを詳しく言えば、雇われる人(労働者)は「労働する」、雇う人(使用者)は「賃金を払う」という労働契約を結んでいる状態です。労働契約を結ぶときは、具体的にどんな条件で働くのかしっかり確認しましょう。

労働力の提供と賃金の支払いは、あくまで交換でしかないのですから、労働条件を決めるときは、労働者と使用者は対等な立場での合意により決めるべきものとされています。しかし、現実には、雇われる人の方が多いので、雇われる労働者は立場が弱くなります。そこで、労働条件を高めるために、労働組合が登場します。労働組合の役割については、一番最後に見てみることにしましょう。

学生アルバイトも労働者です

正社員、パート、アルバイト、派遣など、どのような雇用形態でも労働者です。高校生や大学生でも、「事業に使用され賃金を支払われる」という状況であれば、労働者です。

未成年者が働き始めるときは、親権者の同意をもらいましょう

未成年者が働き始めるときは、親権者の同意をもらいましょう。

親権者は労働契約が未成年者にとって不利だと考えるとき、将来に向かって契約解除することができます。辞めさせてくれないといったトラブルの際には、これを活用することも考えられます。

民法5条1項  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
民法823条1項  子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
労働基準法58条2項  親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。

もしも内緒でアルバイトを始めていたら

親権者に内緒でアルバイトをしていたとしても、いきなり労働契約が無効になるわけではありませんが、何かあったときのために、やはり現状を理解してもらった方が安全です。

どうしてアルバイトしたいか、なぜその仕事(業種・職種)なのか、なぜその会社なのか、賃金はどうするつもりか、その4点に絞って説明してみてください。

年齢確認の文書は求められましたか?

労働基準法において、事業所に「労働者名簿」を備え付けなければならないことになっています。特に18歳未満の場合は、年齢証明書も備え付けなければなりませんが、そのために「住民票記載事項証明書」の提出を求められるでしょう。あなたが18歳未満であるにもかかわらず、履歴書以外にそのような書類の提出を求めない場合は、基本的な労務管理のできていない会社です。

労働基準法は学生バイトにも適用されます

残業代有給休暇は、労働基準法という法律で最低基準が定められています。正社員、アルバイトの働き方にかかわらず適用されます。

労働基準法は、労働条件の最低基準ですから、これに達しない労働条件は無効です。無効になった部分は、労働基準法で定める基準にしたがいます。

労働条件が約束と違っていたら

働き始めたら、あらかじめ示された労働時間よりも長く働かされたり、安い賃金で働かされたというように、労働契約の内容と実際の労働条件が異なる場合はどうしたらよいでしょうか。

働き続けることを希望するのであれば、使用者に対して、労働契約の内容を守ってもらうように要求してください。守らない場合は、労働組合に加入して交渉しましょう。

もし働き続けたくないという場合は、明示された労働条件と実際の労働条件が異なることを理由にして、直ちに労働契約を打ち切ります。有期労働契約の場合であっても、この場合は契約期間途中でも退職できます。

労働基準法15条2項 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

働き始めるときは、必ず契約書を交わしましょう

働き始めるときは、契約書を交わしましょう。少なくても、使用者側は労働時間や休日、賃金などの労働条件を記した「労働条件明示書」を公布しなければなりません。契約書または労働条件明示書には、契約の期間、場所と業務、労働時間などが書かれています。契約書や給与明細等も後で必要になることもあります。少なくともその職場を辞めるまではちゃんと保管しておきましょう。契約内容をハッキリさせることは、とても重要です。

重要 言った、言わないで争う前に、まず労働条件明示書を確認しよう。

労働契約を変えるときは、合意によって

働くときの条件を変えるときは、労働者と使用者が合意して変えることができます。

それでも、一方的に不利益変更をしてくる会社もあります。そのときは、できるだけ早く相談し対処しましょう。時間がたてばたつほど、異議を申し立てなかった、つまり、黙認していたと見なされます。

重要 労働者の不利益となるような使用者側の一方的な変更は認められていません。

労働契約法9条  使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

有給休暇は6ヶ月働けば発生します

所定の休日以外に、賃金をもらいながら、自分の希望する日に休みを取ることができる休暇のことを「年次有給休暇」(有休)といいます。入社後6ヶ月間継続して働き、所定労働日数の8割以上出勤した場合、有給休暇が発生して取得できるようになります。その後、1年経過するごとに所定労働日数の8割以上出勤していくと、その日数が増えていきます。

有給休暇は、学生バイトであるかどうかは、関係ありません。フルタイムで働く人は年10日ですが、短時間バイトでも有給休暇は労働時間に比例してあります。使わなかった有給休暇は、翌年まで繰り越すことができます。使わないと、その分、休みとお金を捨てていることになります。

労働基準法39条1項  使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

有給で休む権利は、その期日を指定して、有給休暇で休みますと会社側に伝えるだけで発生します。会社側は、取得そのものを拒否できません。

途中に休憩時間

長く集中して働くことは、体が疲れ、しかも能率を下げます。そこで、次の場合には途中に休憩時間が必要です。

労働時間 休憩時間
労働時間が6時間を超える 少なくとも45分
労働時間が8時間を超える 少なくとも1時間

この場合の「休憩」とは、労働から完全に解放されている状態を指します。お客が来ることを待っている、電話番をしているような、いつでも労働に復帰しなければならない「手待ち時間」とは異なります。手待ち時間の場合は、労働時間ですから賃金も発生します。

休憩時間は、労働者が完全に自由に使える時間でなければなりません。単に業務に従事していないというだけでは休憩時間にはなりません。逆に、手待ち時間とは、使用者から「働け」という命令があれば、ただちに業務に就くことができる態勢で待機している時間です。

残業代は1分単位で発生します

賃金は1分単位で計算されます。日々、15分や30分単位などの切り捨てをしてはいけません。タイムカードの写しを取っておいて請求することができます。その都度請求することができなかったら、仕事を辞めるときに、過去2年分にわたって請求することも可能です。

原則として1日8時間、週40時間を超えたら残業割増がつきます。また、深夜(夜10時から翌朝5時)には深夜割増がつきます。さらに週1日の休日が必要ですが、その日に働けば休日割増がつきます。

このルールは業種、会社の規模などにかかわらず基本的に適用されます。

ただし、年少者(18歳未満の人)の場合は、深夜労働が制限されたり、労働時間が制限されていますので注意しましょう。

有期契約と無期契約を区別しましょう

労働契約の終了を何日にするのか決める契約(有期契約)とそうでない契約(無期契約)があります。

有期契約を結んだ場合、会社からもあなたからも、よほどの場合を除き、その期間中は労働契約の一方的な解除はできません。また、その期間が過ぎたとき更新することがあるのかないのかも決めておく必要があるので、理解しておきましょう。

仕事中のケガは労働災害で、治療費はタダ

仕事中や通勤途中のケガで通院したときは、医療費はタダです。なぜなら、それは労働災害(労災)だからです。従業員が仕事中にケガをしたときのために、雇い主は労災保険に加入しています(保険料は、全額使用者負担です)。その保険から治療費が支払われます。

病院の窓口で、「仕事中に怪我をしました」「通勤中に怪我をしました」と申し出てください。そこで手続きを教えてもらってください。

最低賃金を下回ってはいけません

働く人の賃金が低すぎると生活できないので、最低基準が定められています。使用者は、労働者に最低賃金額以上の賃金を支払わなくてはいけません。最低賃金は、都道府県ごと、業種ごとに決まっています。わからないときは職場の最寄りの労働基準監督署に問い合わせましょう。

  • 最低賃金には、精皆勤手当、通勤手当、家族手当や時間外労働、休日労働、深夜労働の手当、臨時に支払われる賃金などは含みません。
  • 最低賃金には、全産業に適用される都道府県ごとの最低賃金と、特定産業に適用される特定最低賃金があります。自分の働き方がどちらの最低賃金の適用になるかは、労働基準監督署に問い合わせましょう。
  • 賃金が時間給以外で定められている場合は、その賃金を時間あたりの賃金に換算して、最低賃金と比較します。

給料明細はきちんと読んで捨てないように

給料明細には、基本給の他、各種手当、社会保険や所得税などの控除が書かれています。アルバイトの場合は、項目が少ないと思いますが、少なくてもその会社を辞めるまでは捨てずに保管しておいてください。

覚えておこう大人になってからも大切です。給料明細の見方を覚えておきましょう。
基本給
賃金の本体です。
残業手当
1日8時間、週40時間を超えて働いた場合は、基本の時給に割り増しした上で支払われます。また、法定休日に出勤した場合は、休日割増が付けられて支払われます。法律で定めた割増率以上でなければなりません。
通勤手当
支給額は会社ごとに決まっています(支給しないと定めることも可能です)。通勤にかかる実費を一部負担するものです。一定額までの通勤手当には課税されません。
家族手当、住宅手当など
会社ごとに扶養家族の人数に対する手当や賃貸住居に対する手当などを支給する場合があります。また、役職に対する手当などもあります。就業規則に定められたとおりです(支給しないと定めることも可能です)。
雇用保険料
雇用保険は支給総額に対する一定割合を労使折半で納めるものです。
健康保険料・介護保険料
病気の際に使用する健康保険の掛け金です。一定年齢以上の人は、介護保険料も納めなくてはなりません。
厚生年金保険料
総支給額から決められる標準報酬月額を元に保険料が決められ、労使折半で納めます。
所得税
課税対象となる基本給や各種手当の概算から天引きされます。生命保険料などが控除対象になるので、年末に精算(年末調整)します。もしも年の途中に退職した場合や医療費がかかりすぎた場合は、自分で確定申告すると払いすぎた分は還付されます。
住民税
前年の所得に対して、県や市町村に納めます。
互助会費、食費など
会社内でつくる互助会費やまかないつきで食事が出される場合の食費など、控除される場合があります。なお、これらの控除は労使協定が必要で、会社が一方的に控除することはできません。

減給の定めには制限があります

労働者が職場規律を乱した場合に、使用者がその労働者を罰することを制裁といいます。制裁には、口頭注意や始末書の提出など比較的軽いものから、懲戒解雇など重いものまで、程度に応じて数種類定められていることが一般的です。その中で、賃金の一部を減額することを減給と呼びます。

たとえば、遅刻したとき、遅刻した時間分は働いていませんので減額されても違法ではありませんが、その時間を超えて減額することは、制裁としての減給に当たるというわけです。

減給の制裁を就業規則に定める場合は、減給する事案1回につき、減給総額が平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、事案が複数回生じた場合であっても、個々の減給の総額が一賃金支払い期における賃金総額の10分の1を超えてはなりません。これを超えて減給する場合は、次の賃金支払い期まで減給を先送りしなければなりません。

突然のクビは許されません

会社が労働契約を終了させる「解雇」は自由にできません。30日以上前に予告することはもちろんですが、「客観的で合理的な理由」が必要とされるので、「働き方が気に入らない」「覚えが悪い」という理由では解雇は認められません。

「辞めてほしい」(退職勧奨)の場合、これに応じるかどうかは労働者の自由です。退職勧奨を受けても、自分から辞めるつもりがない場合、はっきり辞めませんと伝えることが大切です。

有期労働契約の場合、天災で事業所が閉鎖するなど、やむを得ない事情がある場合でなければ、使用者は契約期間が満了するまでの間、労働者を解雇することができません。

基本的に退職は自由

期間を定めた労働契約でない限り、労働者が自分の意思で辞めたいと思ったときは、自由に退職することができます。「退職日」を伝え、理由は「一身上の都合」でかまいません。

法的には、退職届を出してから退職日までに最低限必要な期間は2週間です(ただし月給制の場合は異なります)。また、就業規則などで2週間以上前に提出することと定められているときもあります。これが妥当な期間と判断されるケースもありますので、早めに退職を申し出ましょう。

退職時に減給は違法

「退職するからと、給料を減額された(何かの名目の費用を天引きされた)」という場合は、あきらめないでください。急に辞めたから、長期で働ける約束になっていたのに辞めたからなどもっともらしい言い訳をしてくる場合がありますが、当然違法です。

退職届の書き方(例)

  1. タイトルは「退職届」とします。退職させてほしいとお願いするのではありませんから、退職願ではありません
  2. 提出する日を書きます。
  3. 提出する相手方を書きます。「○○株式会社 代表取締役社長 ○○○○様」などです。
  4. 本文は、「このたび、一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたしますので、お届けします。」と書きます。退職日とともに「退職する」という意志が伝われば文言が変わってもかまいません。ただし、退職をお願いするのではありませんから「退職させてください」という文章にしてはいけません。
  5. その下に、「以上」と書いて、自分の署名捺印をします。
  6. 退職を巡ってトラブルになるようなら、写しを取っておきます。
  7. 退職届を職場の上司に提出します。その上司にも「退職する」という意志を伝えます。たとえ退職を拒否されたり、退職届の受け取りを拒否されても、意思表示は終わっていますので、退職日に辞めても何ら問題はありません。そのような場合は、念のため、退職届を提出した際にどのようなやりとりがあったのか5W1Hに沿って記録してください。

それでも辞めさせてくれないときは

  1. 退職の日と退職の意思を伝えた時点で、会社側がなんと言おうと退職することができます。
  2. 退職を引き留めてくる場合はありますが、それに応じるかどうかは自分の意志次第です。
  3. 最後の賃金支払いを渋る、求人広告分の損害賠償をちらつかせる、代わりの人を連れてこいなど不当な要求をするなど、嫌がらせをしてくる場合、辞めたいのになかなか辞められない状態になってしまう場合は、何も答えずに「家族と相談します」とだけ言って、レインボーユニオンにご相談ください。

期間に定めのある労働契約の場合は注意

「○月○日から○月○日まで」のように契約期間が決まっている場合は、その期間も契約の一部ですから、使用者側からも労働者側からも一方的に契約を解除することはできません。もちろん、話し合って合意できる場合は、それに従ってかまいません。

もしも一方的に契約解除した場合は、相手側にはそれに伴って受けた損害を賠償する責任が発生します。使用者側が一方的に契約を解除した場合は、労働者側は残り契約期間の賃金相当分を請求できます。労働者側が一方的に契約を解除した場合は、使用者側がそれに伴って生じた損害額を算定して請求することになりますが、現実にはその算定が難しく請求するケースは少ないのですが、しかし、このような事態は避けるべきです。

業種によってありがちなトラブル

業種によってありがちなトラブルというものがあります。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、直営店を除き、個人商店のようなものです。労務管理について慣れていないところも多くあります。

最低賃金を割り込んでいないか

賃金は、最低賃金に近いので、特に最低賃金の改定時期(毎年10月頃)には注意が必要です。学生だからといって、最低賃金よりも低い時給で働かせていいということはありません。

過度なノルマや違法な天引きはないか

お中元、クリスマスケーキ、恵方巻きなど季節ごとにノルマを課す場合があります。経営が厳しいため、売れ残った商品を買い取らされたり、レジのミスを負担させられたりといった悪質なケースがあります。

レジのミスを負担させることは違法の可能性が高い

レジを操作していると、売上と現金の合わないことがあるでしょう。それを労働者に負担させる使用者がいますが、違法の可能性が高いと言えます。

  • 誰がミスをしたのかわからないのに、レジを扱った従業員全員で連帯責任を取らせるなどというのはダメです。
  • 賃金から天引きする、相殺するのは、労働基準法に違反します。
  • たとえ自分のミスだとしても、使用者が尽くすべき責任を果たしていない可能性もあるので全額負担する必要はありません。
  • 懲戒としての減給であれば、法で定めた限界を超える減給でないか、処分として減給がやむを得ないかが問われます。
  • 入金額が多かったときに労働者がそれをもらえるわけではないので、不公平です。

アパレル店

お店で販売している服を購入させられ、身につけるようにさせられることがあります。季節ごとに買い換える必要が出てくるので、バイト代のほとんどが洋服代に消えるということもあります。個人負担させられる費用については、採用時に説明がなくてはなりません。事前によく確認し、収入と支出のバランスについて問い、迷うときは断りましょう。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の命令で定める事項については、命令で定める方法により明示しなければならない。

労働基準法15条1項

「労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項」は口頭の明示でもよい事項となっています。面接時にメモしておきましょう。

学習塾・家庭教師

時給が高く、大学生などに人気です。生徒がいるため、どうしても年度途中で退職しずらい雰囲気も作られます。学業との兼ね合いを考慮してください。

授業時間外の作業に賃金が支払われているか

授業時間分しか支払いがなく、事前準備や採点業務、事務的な業務への支払いがないといった問題点が指摘されており、厚生労働省からも是正にむけたとりくみがなされています。そもそも、始業終業時刻の記録をしないところもあり、大問題です。

偽装請負ではないか

労働者ではなく、委託業務(請負)として扱われているケースもあります。この場合は、労働者としての保護をすり抜ける意図があるので、大変危険です。偽装請負の可能性があります。

飲食店・居酒屋

正社員の少ない職場で、他の従業員並の役割を求められることもしばしばです。シフトを勝手に増やされたりして、学業との両立を損なうことがあります。深夜に及ぶこともありますが、その場合は深夜割増が支給されることを確認してください。また18歳未満の深夜業務は原則禁止ですので、後片付け等も考慮するとシフト上で21時半頃までに終了するようになっているかどうか確認すべきです。

長期休暇中に関して

長期休暇中は、シフトを勝手に増やす、休憩もなしに働かせる、18歳未満であるにもかかわらず時間外労働をさせるなど、違法な働かせ方の増える時期です。

ブラックバイトの一番の原因は悪政にあります

いくら頭でそれはおかしいと思っても、いざブラックバイトに直面すると非常にショックを受けるでしょう。それは経営者のモラルが下がっているというだけでは説明できません。ブラック企業やブラックバイトがはびこる一番の原因は、悪政にあります。

雇用環境の悪化・所得減少・高学費が原因

雇用環境を悪化させた

飲食店やコンビニなどの業界では正社員がほとんどおらず、パートやアルバイトなどの「非正規」労働者で運営されている店舗があります。当然、「非正規」労働者は、会社にとって補助的ではなく、基幹的な業務まで担わされることになりますが、学生バイトもその中に放り込まれます。正社員を減らしていつでもクビが切れて安く使える労働者を増やす後押しをしてきたのが、いまの政治です。会社は、それで一時的なもうけを上げたかもしれませんが、不安定な生活しかできない労働者が増えれば景気が悪くなり、会社も売り上げが落ち、結局、国内の産業も困ることになっています。

国民の所得を減少させた

大学生の家庭からの仕送り額は減り続けています。それに反比例して、バイト代が学費や生活費の大きなウェイトを占めるため、辞めるに辞められない状態になります。高校生のアルバイトも、家計の足しにしたり、将来の進学費用を考えると、同じように辞めるに辞められない状態になります。家庭の経済状況を悪化させてきた原因は、なによりも企業活動を第一に考えた施策をおこない、労働者などの所得を減らしてきた政治の問題です。

進学費用が高く、奨学金も貸与で有利子

進学費用があまりにも高すぎます。また、奨学金は貸与制がほとんどで、有利子もたくさんあります。日本学生支援機構は、延滞金の回収率の高さを誇って民間資金を集める「金貸し」でしかありません。将来の返済を考えれば、バイトせずに奨学金を借りることも難しい状況となります。教育に「自己責任」と「受益者負担」という考え方を持ち込み、お金のある一部エリートが育てばいいという教育行政の姿勢の問題です。

ブラックバイトとたたかう方法を見てみましょう

ブラックバイトをなくすためには、選挙権を有効に使うことが必要です。つまり、労働者をいじめるような政策を行い、経営者のためばかりになるような政治家を落選させることです。若者の投票率は低いと指摘されていますが、いろいろな選挙の機会を捉えて、労働者のために働く政治家に投票し続けることが事態を変えていくでしょう。

労働組合はお互いの弱点をカバーする組織

働く人は法律で保護されています。しかし、それを守らない経営者もいます。また、法律を運用するのは、人間です。ねじ曲げて解釈する人もいます。自分の権利が侵害されたとき、それを防ぐ方法は、相手にそれを止めるように自分が行動するしかありません。しかし、労働者にとって不十分な法律もたくさんあり、さまざまなトラブルに対して、一人で対処しきれないでしょう。そんなときは、労働組合に相談してください。

労働組合は、労働者が自分たちの弱点をカバーしあうために運営している自主的な組織です。労働組合は、労働条件の維持改善することを主目的に活動しますが、活動範囲は会社の中だけではありません。社会保障制度や税金などの問題にもとりくみます。なぜなら、賃金や労働時間など、会社の中の労働条件をよくするだけでは、労働者の生活を守ることができないためです。

労働組合は、使用者と対等な関係で交渉することができます。

労働組合に入ることがかっこ悪い、お金の無駄と思うなら、それは誤解です。労働者が互いに競争し合ったら、どんどん労働条件は低下します。だから、互いに過度に競争しないようにして、適正な労働条件を維持し、さらに向上させる必要があるのです。それは、労働基準法でも求められていることです。ですから、今に満足せず働き始めたら、ぜひ労働組合に加入してください。会社内に労働組合がなければ、レインボーユニオンがあります。

労働組合に加入し、運動することは、もしかしたら面倒かもしれません。しかし、それはこの世の中をまともに保つために必要なコストです。労働者全員が面倒だからと権利を放棄したらどうなるでしょうか。労働条件は際限なく低くなり、社会秩序が乱れます。ですから、一人ひとりが権利を守るためにとりくみ、また、それを励ますことが大切です。つまり、「みんなは一人のために、一人はみんなのために」です。

労働協約を結べます

労働組合と会社との間で結んだ取り決めは「労働協約」といいます。労働協約に定める労働条件に反する労働契約の部分は無効になります。こうやって、働く人の労働条件が悪くならないようにすることができます。

会社からの不当の圧力や妨害は禁止

労働組合の正当な活動に対し、会社が不当な圧力や妨害を加える行為を「不当労働行為」といいます。不当労働行為は法律で禁止されています。

労働組合に加入することで使える権利

労働者は、労働組合に加入するなどの団結する権利を使うことで、労働条件を会社側と話し合いと行う権利を行使したり、話し合いの状況に応じて争議行為(ストライキなど)を行う権利を持ちます。労働者はただでさえ無権利状態です。それによって、使用者側に圧力を加えることができます。行政機関を活用することも得意です。

まず問い合わせてみることから

いまのアルバイトがちょっとおかしいかなと思ったら、できるだけ早めにお問い合わせください。ブラックバイトの被害に遭っていても、経験が少ないために「働くって、そんなものなのかな」と気がつかないケースもあります。

何も問題ないならないなりに、そのことを確認してみてください。

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