• 残業代不払いは犯罪。支払われなかった残業代は計算して取り返しましょう。
  • 残業代請求のためにはタイムカードなどの証拠を集めましょう。
  • 残業代を支払わせるために、ユニオンに加入しましょう。
これで残業代が計算できる!未払い残業代を取り返すための準備と方法

仕事をすれば、必ず賃金を請求することが出来ます。労働者である私たちは、自分の労働力を時間単位で売っているからです。自分の人格を丸ごと売っている奴隷ではありません。

労働基準法では、残業には割増を付けて支払わなければならないと決められており、守らない会社は罰せられます。会社が独断で「うちは残業代は支払わない」と判断できることではありません。ところが、残業代を払わない会社が少なくありません。入社時にはっきりと「残業代は支払わない」と明言するケースもあり、違法をよしとするひどい会社もあります。

残業代をきちんと支払ってくれない会社と関わってしまった場合は、未払い分の残業代を請求して取り戻しましょう。まずは、残業代の計算方法を理解して、次に未払い残業代を請求する方法について見ていきます。

「もっと時間がかかると思っていた」団体交渉で未払い残業代を取り戻した
未払い残業代があったため、労働基準監督署に申告。会社と折衝していました。会社側は未払い分があったことは認めますが、その金額について折り合いませんでした。数ヶ月後、その人はにいがた青年ユニオンに加入して、会社側と団体交渉を行いました。その結果、わずか1回の団体交渉で未払い残業代を取り戻すことができました。団体交渉後、「交渉が2回も3回もあって、もっと時間がかかるのかと思っていました」と早期解決できたことに喜びました。
「残業代ゼロ」(高度プロフェッショナル制度)は過労死促進法
仕事を時間ではなく成果ではかれという財界の要求で「残業代ゼロ法」が取りざたされています。しかし、労働は時間ではかるものであって、成果ではかるなら、それは下請けにほかなりません。労働者に自由を与えず、残業代は与えない。これでは、ますます長時間労働がはびこり、過労死を増やすばかりです。どんなに適用範囲をせばめようと、どんな条件をつけようと「残業代ゼロ」は労働者を奴隷にする制度であって、絶対に導入してはならないしくみです。 トピック 「残業代ゼロ」を一足先に実施している職業の働き方がひどい

残業代を取り戻す

ご注意ください 未払いの残業代は2年で時効となります。退職後は、請求する時期が遅くなればなるほど請求できる金額が目減りしていくことになります。

残業代を払わない会社がよく言う4つのデタラメ

残業代を支払わない会社には、いくつかの逃げ口上があります。だまされないようにしましょう。

「おまえの仕事が遅いから」はウソ

「仕事が遅いから残業しているのは自分のせい」と言って残業代を払わない上司がいますが、でたらめです。

仕事量の管理は会社のつとめです。もし仮にあなたの仕事が遅いのならば、それを早くするために研修させたりすればよいだけのことです。他の人に応援をさせるという方法だってあるでしょう。

万が一、勤務時間中に職務に専念せず、仕事を遅らせたのであれば、それはそれで改善させられることです。しかし、仕事に不慣れなだけだったり、通常通りに仕事をしているだけで、「仕事が遅い、能力が低い」というのは言いがかりです。

「この業界では支払わない」はウソ

「この業界では残業代はない」というのは、でたらめです。

労働基準法の適用されないような業界は、国家公務員ぐらいです。国家公務員でさえ、別の法律で残業代は支払われます。なぜなら、「労働契約でお金と労働力の交換」、「残業割増をつけることによって長時間労働から労働者を守る」という2つの基本は変わらないからです。

このように、残業代を支払うことは法律で決まっています。そして、あなたと経営者が事前に「残業代はなくても良い」と約束したとしても、その約束は無効になると定めている法律です。あなたがどう考えても、上司がどう考えても、経営者がどう考えても、残業代を支払うのは日本のルールです。

残業したら、残業代は支払ってもらいましょう。

「小さい会社だから払えない」はウソ

「小さな会社だから払ったらつぶれる」というのは、まったくのでたらめです。

労働者に仕事をさせた分、もうけを出すのは経営者の仕事です。もうけが出ると判断したからこそ、労働者に仕事を命じたのです。その判断ミスの責任を労働者に転嫁するのは間違いです。そもそも、その程度の残業代を支払ってつぶれるぐらいなら、とっくにつぶれています。泣き寝入りをしないようにしましょう。

「残業しろと言っていない」はウソ

「残業しろとは言っていない」「おまえが勝手に残業した」という言い訳は通じません。

会社には、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理する義務と労働時間を把握する義務があります。上司が部下の残業をまったく知らないとは考えにくいでしょう。労働者がやむなく残業せざるを得ない状態ですから、これは「黙示の命令」があったとみなせます。

未払い残業代を請求する準備

残業代請求をするためには、自分がいつ、何時間仕事をしたのか明らかにすることが重要です。

労働時間のわかる資料を集めましょう

  1. タイムカード
  2. メールの発信時間
  3. ファックスの発信時間
  4. シフト表
  5. 業務日報
  6. 自分のメモ(毎日の日記)

計算は実労働時間数を1分単位で

労働時間を集計しましょう。有給休暇で勤務していなかったような時間は「労働した時間」には含みません。時間数の計算は1分単位で行います。労働者に不利にならない端数処理として、1か月の労働時間を通算して30分未満の端数が出た場合には切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げて計算することは認められています。しかし、単純に端数を切り捨てるなどといった処理は違法です。また、30分未満の端数は切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げて計算する方法であっても、これを毎日の労働時間について行うことは認められていません。

労働時間の計算の例

労働時間は1分単位で計算します。15分未満を切り捨てたりしてはいけません。

始業時刻8時25分
終業時刻12時35分
労働時間○ 4時間10分
× 4時間

残業には2種類 法内残業と法定時間外労働

労働時間がわかったら、まずは残業を2種類に分けます。法内残業法定時間外労働です。

法内残業とは、会社で定めた所定労働時間は超えたけれども、労働基準法で定められた労働時間内の範囲で行われた残業です。たとえば、ある日は5時間しか働かなくてよかったのですが、1時間残業を命じられた場合、この1時間は法内残業の時間になります。

法定時間外労働とは、労働基準法で定められた労働時間(原則は1日8時間、1週40時間)を超えた残業です。

特例措置対象事業
「特例措置対象事業」については、1週44時間までの労働時間を可能とする仕組みがあります。特例措置対象事業とは、常時10人未満の労働者を使用する商業、映画演劇業(映画製作を除く)、保健衛生業、接客娯楽業の事業所です。1つの店舗に数名ずつ働いているような飲食店が該当します。この場合は「週40時間」とあるところを「週44時間」と読み替えてください。

法定時間外労働は割増が必要

労働基準法は、法定時間外労働について割増をつけなければならないとしています。法内残業については法律上の決まりはありませんので、労働契約か就業規則によって決まります。就業規則で割増を支払うとしている場合は会社側に支払い義務が生じますので、まずは就業規則を調べてください。

そもそも残業は労使協定を結んでから

そもそも法定時間外労働は「36協定」を結ばなければ犯罪です。会社と労働者代表が「36協定」を結ぶことで、はじめて残業は違法ではなくなります。

36協定の書式については、厚生労働省:主要様式ダウンロードコーナーから、「時間外労働・休日労働に関する協定届(各事業場単位による届出)」をダウンロードしてください。

残業の上限時間に注意

日本の法律では、残業の上限時間に規制がありません。36協定さえあれば、無制限に残業できることになります。しかし、それでは過労死する労働者が増加してしまいます。そこで、厚生労働省から「時間外労働の限度に関する基準」が示されています。それによれば、1ヶ月で45時間、1年で360時間を超えないようにとされています。 トピック 36協定大丈夫?新年度最初に確認すべき残業の上限時間

残業割増の最低ライン

労働基準法で決められている割増率の最低ライン

法定時間外労働をさらに分類します。そして、原則的な1日8時間・1週40時間労働制を採用している会社の場合、これ以上、支払わないと違法です!

  • 1日8時間を超えたら、または、1週40時間を超えたら(法外残業)…+25%
  • 1月の残業60時間を超えたら…+50%(当面、中小企業は適用しない)
  • 深夜10時から翌朝5時までの間(深夜)…+25%
  • 深夜かつ時間外労働…+50%
  • 深夜かつ月60時間超の時間外労働…+75%(当面、中小企業は適用しない)
  • 法定休日…+35%
  • 法定休日かつ深夜…+60%
1週間とは、就業規則等に特に定めがなければ、日曜日から土曜日までです。
残業代の計算の例

残業時間を分類して、1ヶ月ごとの表にしましょう。

労働時間割増率
時間外56時間+25%
時間外(月60時間超)5時間+50%
深夜16時間+25%
時間外深夜4時間+50%
休日6時間+35%
休日深夜2時間+60%

1時間あたりの賃金額を計算しましょう

「月給」を「1ヶ月あたりの平均所定労働時間」で割って、1時間あたりの賃金額を計算します。

月給には、次の5つの手当は含みません。

  1. 家族手当・扶養手当・子女教育手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当・単身赴任手当
  4. 住宅手当
  5. 臨時の手当(結婚手当、出産手当など)

1か月あたりの平均所定労働時間は、次の計算式で計算してください。

(365-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12

うるう年の場合は、366日で計算します。

年俸制でも残業代は別

年俸制とは、年間の賃金総額を決定するものです。それを振り分けて、1ヶ月に1回以上の賃金支払いを行います。残業代は、それとは別に計算して支払いをしなくてはなりません。

歩合給でも残業代は発生することがある

歩合給でも、残業代は発生します。歩合給の場合は、支給対象期間の総労働時間を基準として計算します。

固定残業代に注意

あらかじめ決めた金額の残業代相当を手当として支払う「固定残業代」があります。名目が違っても、就業規則等で固定残業代として取り扱っている場合があり、要注意です。

固定残業代は、正しく運用すれば必ず使用者にとって人件費が増え、不利になる制度です。使用者側にとってのメリットは、2つあります。1つは、月収を誇張することで、人集めすることです。もう1つが本来追加で支払わなければならない残業代を違法とわかりつつ支払わず、長時間労働を野放しにしながら人件費を抑えることです。

固定残業代については法的規制がありませんが、裁判の判決で適法かどうかの判断が示されてきています。次の点に注意して判断しましょう。

  • 固定残業代の金額が明確であること

    固定残業代の金額が明確でなければなりません。たとえば、「月給30万円(固定残業代を含む)」といった表記の場合は、固定残業代の金額が明確ではありませんから、いったい何時間の残業を前提としているか、しかも基本給すらわからない状態となります。

  • 残業代の何時間分に相当するのか明確であること

    固定残業代の金額がいったい何時間分なのか明確でなければなりません。「固定残業代5万円(時間外労働30時間分を含む)」というような記載が必要です。この場合も、単なる時間外労働と深夜労働、休日労働は区別して記載すべきです。

  • あらかじめ想定した時間の残業を超えた場合には残業代が追加で払われること

    固定残業代で想定している残業時間を超える残業をしているのに、追加で残業代が支払われないのであれば、そもそもそれは固定残業代という認識がないことになります。就業規則等で追加で残業代が支給されることを明確にすることはもちろんのこと、それが実態として行われていなければなりません。

  • 残業する人すべてに払われていて、そうでない人すべてに払われていないこと

    残業のある人すべてには支給されていて、残業のない人にすべてに払われていないという状態でなければ、その手当は残業代としての性格が疑われます。

  • 固定残業代に残業代以外の性格が含まれていないこと

    固定残業代はあくまでも残業代としての支払いです。そこに、個人の成果が加味されたり、会社の業績が加味されれば、残業代としての性格が疑われます。基本給が一緒なのに固定残業代が異なる、月によって変動するといった場合があれば要注意です。

求人票における固定残業代の不適切記載例
厚生労働省は、求人票における固定残業代の次のような記載は、不適切であると通知しています。
  1. 固定残業代が何時間分であるか記載されていない。また、超過した場合に別途支給する旨も記載されていない。
  2. 固定残業代が何時間分か記載されているが、超過した場合に別途支給する旨が記載されていない。
  3. 超過した場合に別途支給する旨は記載されているが、固定残業代が何時間分か記載されていない。
  4. 基本給の中に固定残業代も含めて記載されている。
  5. 別個の手当と固定残業代が一括して記載されており、それぞれの内訳が記載されていない。
固定残業代としての性格を有しない手当である場合は、未払い残業代が発生します
これまで固定残業代として取り扱われてきた手当について、固定残業代としての性格を持っていないとなった場合は、未払い残業代が発生します。しかも、固定残業代として取り扱われてきた手当は基本給扱いになるので、基本単価も引き上がり、未払い残業代はさらに増加します。

わかりにくい変形労働時間制、裁量労働制

「1日8時間、週40時間」の例外があります。

変形労働時間制

繁忙期に残業割増をつけさせないために「変形労働時間制」を取り入れている会社があります。ただし、事前の労使協定やシフト表をあらかじめ示すことなどのルールが決められています。

季節的な業務の繁忙がはっきりしている場合に「1年単位の変形労働時間制」が採用される場合があります。また、「1ヶ月単位の変形労働時間制」など週内での繁忙に対応するケースもあります。変形労働時間制の場合の時間外労働の計算は、原則的な場合(週40時間・1日8時間)の時間外労働の計算方法と比べると複雑です。

変形労働時間制の運用は、難しいものです。もしも変形労働時間制を理由に残業割増を支払わないようだったら、まず適切に変形労働時間制が運用されているのかどうかを疑う必要があります。

裁量労働制

労働時間管理を曖昧にする「裁量労働制」の導入が進められている業界もあります。

研究開発職、編集者やデザイナー、プロデューサーなど、主にクリエイティブな業務や専門的業務など、労働時間を管理することが適切ではなく、その業務遂行の方法を従業員の裁量にゆだねた方が適切な「専門業務型」と、事業運営に関する企画・立案・調査・分析業務などの従業員の裁量にゆだねる「企画業務型」の2種類があります。いずれも手続きが必要です。

いずれも、残業代を払わなくてよいという仕組みではありません。また、長時間残業でたくさん残業代をもらったからといって、過労死したり、健康を害してからでは遅いのです。家族の顔を思い出して、にいがた青年ユニオンにご相談ください。

残業は会社にとっても非効率

残業を前提とした業務計画は、そもそも会社にとっても非効率的、非生産的です。長時間労働を短くさせるためには、その観点が必要です。

残業代がなくては生活ができない場合は、基本給が低すぎるためです。そのような状況では、従業員が会社に定着せず、いつまでも熟練した従業員が育ちません。ひとりで会社に言うことはできなくても、にいがた青年ユニオンに加入し、団体交渉することが可能です。

未払い残業代を請求する方法

未払い残業代を請求するには、次のような方法があります。それぞれ、メリット・デメリットがありますので、ご自身にあった方法を検討してください。

会社と直接交渉

会社に直接請求する方法です。

話し合いによる解決ですから、互いに譲るところは譲るという関係が成り立つのなら特に費用もかからず早期解決ができます。

労働基準監督署に申告する

残業代不払いは労働基準法違反ですから、監督官庁である労働基準監督署に指導してもらう方法が考えられます。

労基署への相談には費用もかかりませんし、会社も指導に従う可能性は高いでしょう。

一方、会社に対して匿名にしてほしい場合、調査に限界が生じます。客観的資料がない場合は指導できないこともあります。また、まれに指導があっても残業代を支払わない悪質な会社もあります。その場合は支払いを強制することができません。

裁判で請求する

弁護士に依頼して、裁判を行う方法です。悪質なケースでは付加金も請求できますし、遅延損害金も請求できます。しかし、一方で弁護士費用は一定必要で、ある程度の時間がかかります。

付加金

支払い遅延が悪質で、裁判所がそれと認めた場合には、付加金の支払いを認めてくれるケースがあります。付加金は、未払い金と同額です。

付加金の対象は、解雇予告手当、休業手当、残業手当、有給休暇の時の賃金です。

遅延損害金

支払いが遅れた分は、利息(遅延損害金)も合わせて請求できます。在職中は年6%(ただし、勤務先が非営利団体の場合は年5%)、退職後は14.6%です。

労働組合に加入して団体交渉する

個人で直接交渉と同じく、話し合いの解決です。しかし、会社側には必ず交渉に応じなければならない義務が生じ、交渉が成立しないときは組合側が団体行動権を行使する可能性がありますから、それが圧力となって早期に妥結することが可能になります。

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たくさんのことを我慢して頑張っているうちに、いつの間にか自分の人生を仕事やお金に握られてしまっていると感じませんか?

ここでは、あなたはお客様ではありません。 あなたも私も同じ、人生の主人公です。

労働組合には、心と体を守るためのたくさんのツールがあります。 一緒にその使い方を学び、身につけませんか?

にいがた青年ユニオンは、労働者自らが真剣に運営する労働組合です。職場との関係、同僚との関係、生活上の心配事なども含めて、あなたと一緒になって考え、共に行動します。

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